2009-01-01から1年間の記事一覧

VOUの編集後記

前回、黒田維理新刊本について書いた後で、久しぶりに同人誌『VOU』を眺めていたら、晩年の北園克衛(1902〜1978)の編集後記が興味深かったので、ちょっとご披露してみます。 【 猛烈な1973年の夏が過ぎ去ろうとしている.そしてこの谷間の街にも真水のよう…

黒田維理撰集 ナポリ フラッグ

モダニズムの詩人、黒田維理の初期と後期に書かれた、詩、短編、紀行文、評論の撰集、『ナポリ フラッグ』が上梓されました。詩集『Something Cool』以前の同人誌『青ガラス』や、『VOU』、『鋭角・黒・ボタン』から、後期の黒田維理、諏訪優編集による『Will…

小林泰彦さんに聞く

芸術新潮九月号は、小林泰彦さんについて書きました。三月に「山の原画展」(id:osamuharada:20090310)で新作を拝見して、これは是非とも、僭越ながらコラムで紹介させてもらいたいなと思ったからです。そう思った途端に、しめたッ!コレをきっかけにして、泰…

黄色いトラック

黄色好きであることを前に(id:osamuharada:20080901)告白?しましたが、その続き。 十代の頃は人並みに、自動車のデザインや色彩に惹かれて、こだわりや憧れを持っていました。二十代は、エメラルド・グリーンのフォルクスワーゲン(知人からの借り物)に乗り…

残暑お見舞い

世界的な異常気象も、毎度のこととなると、当り前になっちゃうのでしょうか? 世間じゃ三日もたつと忘れてる。このままだと天変地異がおきたって、あんまり驚かないかも。習い性(しょう)となるのか。 敗戦記念日のTV番組は、再放送か再々放送ばかりだから…

竜之進カムバック!

赤塚不二夫センセイ一周忌の今月、文芸春秋から『ギャグゲリラ』が傑作選として復刊。ついに我がヒーロー「竜之進」も帰ってきたのだ! 思へば芸術新潮にぼくが書いた二ヶ月後に亡くなられて、本はすでに絶版だったし、ひどくガッカリしていたところ、まさか…

坂倉準三の列柱デザイン

鎌倉に住む娘夫婦を訪ねるついでに、八幡さま境内の池に面した、神奈川県立近代美術館を久しぶりにのぞいてきました。日本で最初(1951年)にできたモダンアート専門の美術館。たまたま、この建物を設計した「建築家坂倉準三展」をやっている。建物自体も展…

裁判員制度の革靴は

クダラナイ話。五,六年前、勝手に送ってくる通販カタログを見てたら、バカバカしくて笑えたので、つい切り抜きにしておいたのがこの写真。革靴を履いてるように見えるが「実はサンダル」! なのですよ。読むとこうある「サンダルで社内を歩きまわるのはスタ…

ZZ TOP のギター

梅雨が明けたかと思ったら逆戻り、今年もまた異常気象かな。こういう時には、暑気払いに、強烈なエレキギターでも聴こうかなと、Blu-rayで、 ZZ TOP の テキサス・ライブを見て聴いていたら、すっかりハマってしまいました。ブルーレイはハイヴィジョンより…

トミ・ウンゲラーのおかしな世界

芸術新潮八月号の、トミ・ウンゲラー大特集が面白いので一言。六〇年代から七〇年代にかけての、デザインやイラスト好きの人にとっては懐かしい名前。(当時はTomi Ungererを、トミー・アンゲラーと発音していたと思う) ぼくは絵があんまり好きじゃなかった…

びいどろ酒杯

芸術新潮八月号のぼくのページは、夏らしく涼しげな美術をということで、谷道さんの吹きガラスを紹介しています。南蛮趣味、長崎のびいどろ(吹きガラスのこと)や、ぎやまん(切子のこと)について述べたあと、谷道さんの吹きガラスのことを書きました。図…

アブストラクトと床の間

部屋を自分で設計した時、真っ先に考えたことは、和室に川端実先生の抽象画をどう掛けるか?なのでした。掛け軸や額装した絵だったら、普通の床の間でいいのだが、キャンバスを剥き出しで壁に掛けることがほとんどの、先生の抽象絵画には向いていない。床の…

スイートコーン

近頃のオヤツでハマってるのが、甘い甘いスイートコーン。野菜や果物、砂糖を使ったお菓子では、味わったことがない独特の甘さ。素朴で力強く、太陽が造った甘味という感じ。茹でて、塩はふらずに、そのままガブリといく。いつもは島の生産者市場で、午前中…

夏なれや・・・

例年より早く、関東も今日で梅雨明け。 島の小さな動物園に一昨年やってきたレッサーパンダ君、寒い中国奥地の出身だから暑さには極端に弱い。去年の夏もグッタリして昼寝ばかりしていた。今年の春に、長野の動物園から可愛いレッサーパンダ嬢を、お嫁さんに…

梅雨の昼風呂

去年、閑人昼風呂にハマると書きましたが、夏の炎天下と、梅雨時の露天風呂だけはよろしくない。この蒸し暑くて鬱陶しい梅雨の間は、しかたがないので写真の古いアトリエ2階の室内風呂のほうで昼風呂趣味をやっております。外は雨というより、ほとんど霧状…

毒舌バーバラ・クルーガー

80年代に人気のあった現代美術作家の Barbara Kruger さん。二十世紀末期のアメリカ文化と社会を容赦なく皮肉ってくれて小気味よかった。広告デザインのスタイルを借りて、インパクトの強いヴィジュアル表現を得意とした。このトートは、’90年にホイット…

長山洋子の民謡演歌

津軽三味線を弾きながら歌う長山洋子の「じょんから女節」の登場は、久々の民謡らしい演歌だったので、あれ以来聴き惚れているうちに、すっかり洋子ちゃんファンになりましたよ。といっても他の持ち歌で、普通の現代歌謡曲を、フツーに歌ってるほうはパスし…

ソグローの小さな王様

むかし拙著『ぼくの美術帖』で、好きなアメリカのカートゥニストについて書きました。チョン・デイとオットー・ソグローの二人。本では一口漫画の名人としてでしたが、七月号の『芸術新潮』のコラムでは、オットー・ソグローを有名にしたコマ漫画のほうのシリ…

熟成バルサミコ

味覚は人それぞれの、好きずきというもので、ぼくの場合は唐辛子カライものが苦手で、酢や梅干のようなスッパイもの好き。砂糖で甘すぎるものが嫌いで、ほのかなる甘味なら好きなのです。最近、気に入ってしまったデザートが、「甘すぎないアイスクリームに…

七月十日の菊六落語会

第九回目のパレットクラブ寄席『古今亭菊六落語会』のお知らせです。 おりしも七月十日は、四万六千日(しまんろくせんにち)。浅草観音の「ほおずき市」でしたね。この日に参詣すれば四万六千日参詣したと同じ功徳があるという。 偶然にも、かねてより菊六…

初夏のベゴニア

もとは小さな鉢植えのベゴニアを、椰子の木の下に移し替えて今年で三年。ますます増えて、大きくなり元気いっぱいに咲いている。 ヤツガレは園芸にまったく興味がないから、なーんにもしてあげてなかったけれど、冬に霜さえ下りなければ全然OKの多年草なの…

オヤジキャラ 2題

ハンナ&バーベラのアニメ『原始家族フリントストーン』の「フレッド」、それに赤塚不二夫「バカボンのパパ」。大好きな、日米オヤジキャラクターの二人なのです。見るからにオヤジくさいフレッドだけれど、ほんとはまだ三十代のサラリーマンであります。い…

島のバター

去年の牛乳に次いで、今年は島の特産バターが復活。ミルクの旨みが、そのまんま凝縮された自然の味がする。写真は元気いっぱいの島の乳牛たち。バターを一本つくるのに、生乳が10ℓ以上必要だというから、1000円という値段は仕方がないかなと思う。島内…

お茶の水・黒岩スリッパ店

服や靴を、上から下まで外国ブランドでキメてる人も、安売りで大満足してる人も、ファッションに関心が無い人でも、日本人なら仲良くみんなに共通してるのが、家に帰れば必ず靴を脱ぐというコト。ハイヒールでもスニーカーでも、まず玄関で脱いでから、家に…

ガース・ウィリアムズの絵本

大型書店の雑誌売り場の前を横切ったら、“LITTLE FUR FAMILY”の絵本が表紙を飾るホッコリ系雑誌が置いてあったのでビックリ。去年の芸術新潮二月号のぼくのコラムで紹介したばかりの、日本ではあまり知られていなかった絵本なのでした。この絵本、三年前には…

東京のくず餅

昔の東京ッ子にはお馴染みのはずの「くず餅」を久しぶりに食べてみたら、これがまた煎茶にピッタリだったので、嬉しかったなというだけのツマラン話です。 子供の時分には、まわりに親類縁者の年寄りたちがまだ健在で、ジーさん&バーさんの土産物といえば「…

神保町・一誠堂書店

「出光美術館」にて、室町時代から順を追って大正の富岡鉄斎まで、水墨画の大家が勢揃いの展覧会。観終わったら、いつしか気宇壮大の気分になっていた。どうもトシとるごとに、この文人画の芸術境が面白くなってきたようです。病んだ現代美術なんぞガキにま…

カレンダーガール

今年はじめ、懐かしのエルブグレン描く、Pin-UPで綴られた日めくりカレンダーを衝動買いした。画集も近年いくつか出版されていたので、その流れでカレンダーも出たのでしょう。 正月から卓上カレンダーとして、毎日めくってはいたけれど、結局好きな絵のとこ…

新橋小川軒のオレンジゼリー

古い銀座を描いた二人の画家、劉生と荘八について、来月の芸術新潮に書こうと思い、現在の銀座八丁を往復してブラブラ歩いてみた。 江戸時代は、京橋寄りに貨幣鋳造所の銀座があったので通称「銀座」と呼ばれた場所だが、それは四丁目あたりまで。今の5丁目…

五月の菊六落語会

第八回目をむかえるパレットクラブ寄席、『古今亭菊六落語会』のお知らせです。毎回、「古典落語」と呼ばれる、お古いところばかりではありますが、この会で菊六は同じ噺を繰り返さず、毎回新しく仕込んだネタのみで挑戦いたしております。回を重ねるごとに…