毒舌バーバラ・クルーガー

osamuharada2009-07-06

80年代に人気のあった現代美術作家の Barbara Kruger さん。二十世紀末期のアメリカ文化と社会を容赦なく皮肉ってくれて小気味よかった。広告デザインのスタイルを借りて、インパクトの強いヴィジュアル表現を得意とした。このトートは、’90年にホイットニー美術館のミュージアムショップ(おみやげ屋)で買ったけれど、実際には使用できなかったのです。恥ずかしくて持っては歩けない。何しろコピーが「ワレ買う、ゆえにワレあり」ですよ。デカルトのモジリ。写真がクレジットカードを持つ手。大量生産の大量消費文明を是としたアメリカ資本主義経済を、思いっきりバカにしたバーバラの現代美術作品“ I Shop,Therefore I Am ”。借金までして、モノを買わずにはいられないモノ信仰。モノでしか幸福を得られなくなる買い物依存症。それをまたショッピングバッグ風トートにプリントした美術館も皮肉がきいてるなと思ったものでした。
今世紀に入ってから、ますます凋落してゆくアメリカ。黒人大統領のニューディール政策社会主義)を、今さらやったってダメでしょう。来年はもっとひどくなるかな。アメリカの自由主義経済が破綻したら、かつてのダダイスムポップアートが無意味化されてきたように、バーバラさんの80年代毒舌アートも、毒気を抜かれそう。1945年生まれというから(ぼくより一つお姉さん)、今頃は長谷川町子の「いじわるばあさん」みたいになってるんじゃないかなと期待してます。
現在も活躍中のBarbara Kurugerさん情報は→http://www.maryboonegallery.com/artist_info/kruger_info.html