トミ・ウンゲラーのおかしな世界

osamuharada2009-07-31

芸術新潮八月号の、トミ・ウンゲラー大特集が面白いので一言。六〇年代から七〇年代にかけての、デザインやイラスト好きの人にとっては懐かしい名前。(当時はTomi Ungererを、トミー・アンゲラーと発音していたと思う) ぼくは絵があんまり好きじゃなかったけれど、風刺のアイデアは好きでした。 読んでみたら、ウンゲラーの自伝的な談話が特に面白く、たちまち好きな人物になりました。生涯をつらぬく諧謔精神は、なるほどその生き方から自然発生しているんだなとよくわかる。常にアウトサイダーとしての視点を貫いているのです。変人だけど実に男らしい生き方。 特集のうちでも「人生篇・ある放蕩息子の長い長い旅」というのがそれ。各章のタイトルは 1.ドイツとフランスのはざまに生まれ(アルザス時代) 2.夢のアメリカ、成功と失望と(ニューヨーク時代) 3.過酷な自然に飛び込んで(ノヴァスコシア時代) 4.帰るべき場所、それはヨーロッパ(アイルランド時代、そしてストラスブールふたたび)と続きます。現在78歳、くわしい自伝を書いて欲しいなァ。
芸新には、ぼくの好きなウンゲラーのイラストが一つ載っていなかった。いま思い出したので、ここに掲げます。これはスタンリー・キューブリック監督の映画『博士の異常な愛情』のために描いた作品。ポスターの絵を、プレミアの招待状に転用したもの。ヘンな感じが映画と同じ。この映画については去年書きました→(id:osamuharada:20080806)