2008-01-01から1年間の記事一覧

窮鼠、猫を噛む。

昨夜、帰りがけに六本木の本屋にでも寄ろうかなと思ったが、きっと混んでるだろうからとやめた。夜のニュースを見たら、「派遣切り」のうっぷん晴らしで包丁を振りまわした若者〈28才〉が、六本木で逮捕されたという。警官が発砲するまで、誰でもいいから…

Le Cargo Noir

今年もまた、コラージュやアブストラクトを描いて遊んでいたのですが、9月のリーマンショックから始まった世界恐慌が気になりだして、コレは脳天気に絵なんか描いてる時代じゃないぞ、などとコンスピラシー・セオリストとしては落ちつかなくなってきました…

オルネラ・ヴァノーニ

今年、実によく聴いたなァという一曲は Ornella Vanoni の“ L'Appuntamento ”でした。1970年の、ぼくにとっては懐かしきナツメロのカンツォーネ。特に昼風呂がマイブームになっていたので (id:osamuharada:20080911)、何か湯につかりながら聴くと合いそ…

銀座異聞

去年の銀座は古書の「奥村書店」が閉店。(id:osamuharada:20071004) 今年は数寄屋橋の「旭屋書店」がなくなり、これでぼくの好きなゆきつけの本屋さんが銀座から消えちゃった。また今年、日比谷のレストラン「香味屋」が閉店。4丁目の「みかわや」はビル建…

今年をふりかえる

パリでは、新たに五つ星級ホテルが何軒か建設中だという。世界に一千万人いるという大金持ちだけが、たまに泊まる最高級ホテルが足りなくなったからだそうだ。 秋から金融バブルがはじけて、世界中で大恐慌が起きはじめているというのになァ。 というわけで…

日本橋まるたか

師走というくらいで、ぼくもイラスト先生を十二月中に十回ほど、あいつとめまする。それに暮れは飲み会なども忙しい。最近は人数が多いと大きな居酒屋のようなところへ連れていかれる。あちこちの部屋で大騒ぎするから、騒々しくて声の低いヤツガレなどは同…

伊東ゆかりライブ

昨夜、六本木のスイートベイジルで伊東ゆかりのライブを聴いた。なにしろ十代半ばからの、ぼくは大ファンなのだ。女性歌手では一番古くからの長いファンです。ゆかりちゃんも還暦は過ぎたけれど、声量いまだ衰えず、低音から高音まで軽やかで自然に歌ってく…

関東の縄文土器

先週、福岡に行って用事が済んだあくる日、地元Tさんの車で大宰府の九州国立博物館へ連れていってもらった。特別展は「国宝天神さま」。巨大な国立博物館といっても、天満宮の境内にあるようなものだし、日曜日ともあって善男善女で押すなオスなよの大盛況…

宮田重雄アトリエにて

宮田重雄先生の旧アトリエを、いよいよ取り壊すことになった、と後継者でお孫さんの佳子ちゃんから知らせを受けた。処分する前にもし挿絵の原画があったら見せて欲しいと頼んで、久しぶりに吉祥寺のアトリエで捜索開始。佳子ちゃんは英国に住んでいるので、…

ジャッキーとサルバドール

芸術新潮12月号。今回のコラムは、編集の三好さんに前から何かレコード・ジャケットのデザインで面白いモノを紹介してくださいといわれていたので、選んだのがあのサルバドール・ダリが描いたLPジャケット。これは意外と誰も知らない。一応芸術の雑誌だ…

時間と時計

十代の頃から遅刻常習者だった。今でも夜ふかしの朝寝坊だけれど、高校時代は、三回遅刻すると一日欠席となる厳しいオキテがあったので大変だった。家から学校までは、地下鉄で二駅なのに遅刻ばかりする。出席日数がたりなくなる危険水域まで落ちると、なけ…

イノダコーヒ三条店

京都新情報。現在はAkio BLENDこと猪田さんが、現場で立ち働く姿が見えなくなってからというもの、コーヒーの味が変わったイノダコーヒかつての三条店だったが、最近になって猪田さん直伝のコーヒーを入れる、いわば猪田さんの最も古いお弟子さんが、十数年…

寺町古書店・竹包楼

京都の続き。「一保堂」を出てから、昼めしを「河道屋晦庵」で鴨南蛮そば。 寺町通の「鳩居堂」で、お土産用に鉄斎書『火用慎』の札。文字にかぶさる龍の絵が気持いい。 通りの並びにある古色蒼然たる「竹包楼」で、以前から探していた富岡鉄斎の扇面ばかり…

京都紅葉

たまたま紅葉観光で人がいっぱいの、十一月の京都へ行ってきました。用事が済んだあくる日の朝、例によって煎茶(寺町・一保堂で)までの散歩コースを、せっかくだから、ぼくも紅葉見物しながら歩こうと思い、宿泊していた蹴上の都ホテル、眺めの良い七階の…

黄昏のアンクル・サム

アメリカ初の黒人大統領(オフクロさんは白人だからハーフなのに)出現で、世間は喜んでいるけれど、オバマ新政権は戦前のニューディール政策と同じようなことをするらしい。というコトはですよ、アメリカはすでに恐慌時代に入ってることになる。そんなこと…

インターナショナル・クライン・ブルー

十一月号の芸術新潮に、今回はフランスの現代美術家イヴ・クラインを一躍有名にした「青」について書きました。青の平面作品がクラインのなかでは特別に良い。その他の立体作品やインスタレーション(当時はイベントと言っていた)は、ほとんどが今ではアホ…

古い招待状

昨日のニュースでは、株価が26年ぶりの7000円割れで大暴落をしたと大騒ぎになっていた。ところで26年前の1982年がどんな時代だったか、急には思い出せない。しばらく計算してみて、確か「ぼくの美術帖」を書いた頃じゃなかったかなと思い、古い…

ありふれたベゴニア

一昨年の夏、テーブルの上に鉢植えのベゴニアを置いて眺めていた。その秋には鉢から出して庭の片隅に植え、何もせずに放っておいたが、今年になってもまだまだ元気よく咲き続けている。 前より花の数は増えているようだ。そばに寄ってつくづく眺めてみたら、…

読書とパイプ

北欧のデテクティブストーリーを読み終えたら、北欧のパイプ煙草の味を思い出した。それは英国などのストレートな煙草本来の味とは違って、ブレンドに香料を加えてあるから、マイルドでどこか甘い味がする。香りもどことなく西洋菓子のような感じ。この頃は…

読書の秋

秋ですね・・。ぼくの「美術の秋」は、抽象画にコラージュ、と自分で描くほう専門です。宣伝過剰な秋の美術展などには出かけたくないし、今さらひとゴミにもまれてピカソや宗達を観たくはないもんね。で、静かに絵を描く秋です。 そしてもう一つの楽しみは「…

FRBと千両みかん

落語通のかたなら誰でもご存知の「千両みかん」という噺がある。先月半ばから始まった金融危機のニュースを聴くたびに、噺のサゲであの番頭が持ち逃げした、みかん3房と、お金のことを考えてしまう。お金というものは、あのミカンとまったく同じで、単なる…

秋の菊六落語会

お待たせいたしました! パレットクラブ恒例となりました『古今亭菊六落語会』のお知らせです。 来たる11月7日の金曜日、秋の深まる頃の宵。江戸の名残り、古今亭ゆかりの古典落語をごゆるりとお楽しみ下さい。(席亭・原田治) 菊市へつれだつなかや娘分 …

鳥を描く

芸術新潮10月号、ぼくの美術コラムは「鳥を描く」。赤勘兵衛さんについて書きました。いつもは物故美術家たちのことばかりを書いていたので、現存しているしかも古い友人のことを、客観的に書くことは難しかったのであります。彼の仕事を、素直に賞賛した…

海久保と茶碗

また煎茶の話でスイマセン。 舩木伸児さんの最新作イッチンの湯呑を見て、これなら「海久保」という古い在来種の煎茶の味にピッタリあうだろうという予感が的中した。それで嬉しかったなという話。 煎茶には磁器の染付けがいいというのは、それが江戸後期か…

築地ホテルのフランス料理

秋のメニューは、まず小海老を裏ごししたクリームスープ、ローストビーフ、温野菜、トリュフ入りのジビエのパイ包み、デザートはフルーツ入りプディング。料理人は来日したフランス人シェフです。なかなか旨そうな本格的フランス料理ですね。 築地はぼくの地…

昼風呂礼讃

還暦も過ぎて、さる頃もある人の戯れにわれをとらへて詰まりたまひけるは、今の世にイラスト稼業といふ商売ほど仕合せなるはなし。昼の日中も誰をはばかるといふおそれもなく露天風呂につかること、これのみにても堅気の若きものゝ目には羨ましきかぎりなる…

「ハイク犬」の効能

《 効能 》 五七五と韻を踏むことができるのは、日本語の仮名一文字が1音節だからで、犬は 「い・ぬ」と2音節になります。これが英語だと「DOG」で3文字まとめて1音節だから、文字数が短い俳句のような定型詩は英語じゃ書けない。小学校へ上って平仮…

「ハイク犬」がゆく

ぼくの最新作、絵本『ハイク犬』学研刊が出版されました!というお知らせ。 コレは幼稚園の年長さん(五、六歳)向けの絵本です。小学校へ上る前だから、まだ文字は習得していないけれど、すでに言葉はよく知っている年代に向けての絵本。 ぼくの専門はキャ…

黄色の男

オサムグッズのデザインをしていた頃、参考資料として、海外のグッズ類を山ほどコレクションしたことがある。紙製品、布、木製、プラスチック、ガラス、金属製と集めだしたらキリがない。そのうち仕事の資料であることを忘れ、特に黄色のグッズが好きになっ…

劉生のブックデザイン

昨日発売の『芸術新潮』九月号、ぼくの美術コラムでは、岸田劉生の装丁について書いてあります。こないだ、そのための資料を調べるつもりで『劉生繪日記』龍星閣刊を再読したら、面白すぎて止まらなくなり、何のために再読するのか目的を忘れていました。近…