2006-01-01から1年間の記事一覧
この題では、子規の句になっちゃいそうですが、年の瀬の今年を振り返るシリーズ「水菓子」編。日本で自慢できるものの一つは、季節ごとの果物が旨いことでしょう。種類も豊富ですね。しかし今年は異常気象だったせいか、好きな桃がイマイチだったのが残念。…
去年11月このブログ(id:osamuharada:20051119)にも書いた、今日は尾上松助の一周忌。何だかまだ信じられない気持のまま、先月は松助最後の舞台となった同じ新橋演舞場で、息子の松也君が演じる「白浪五人男」の赤星十三郎を観ました。思った通りピッタリのは…
今年を振り返る続きですが、美術のほうで、ぼくにとって最も印象深かった今年のNo.1は奈良斑鳩へ行って初めて見てきた、法隆寺所蔵の国宝「百済観音」像でした。いきなり美的感動に引きずり込まれて、身動きができなくなるほどの素晴らしい神秘体験でした。…
今年を振り返ってみると、一番よく聴いたCDは、ブルーグラスの女性歌手Rhonda Vincentだったかな。彼女の声と歌いっぷりにすっかりハマっていました。アメリカの伝統音楽ブルーグラスを聴く日本人はほとんどいないらしいけれど、ぼくは40年来のファンな…
おかげさまで、みすず書房版の拙著『ぼくの美術帖』が重版されることになりました。厚くお礼申し上げます。 みすず書房版の装丁は「大人の本棚」シリーズとしてのデザインフォーマットがすでに決まっていたのですが、その表紙のデザインが、偶然にも昔の原本…
今月はじめ朝日新聞日曜版の読書欄で、中野翠さんが拙著「ぼくの美術帖」を紹介してくださいました。嬉しかったので何かお礼をと考え、たしか中野さんは小津安二郎映画のファンだったはずだと思い出したので、銀座の『東哉』へ行って小津にゆかりの湯呑茶碗…
この頃は紅茶にドライフルーツという組み合わせが、秋も深まってくるとともに、トシふるごとに、好きで気に入ってます。見た目は悪いけれど干したイチジクと、特に香り高いダージリンティーは良く合いますよ。 ドライフルーツに関しては特別の記憶があるので…
’05年このブログ一回目に、ジェリー・ルイスの映画DVDが日本でも少しだけ出たばかりで嬉しくって紹介させてもらったのですが、もうすでに廃盤(中古入手可能)なんだそうです。ぼくはそれ以前にヴィデオで、ほとんどをサンフランシスコとハワイで購入して…
厳寒のニューヨークに行った時、57丁目Rizzoli書店の2階で見つけた豆本です。紙箱から出すと、ウォームグレイ色のもこもこしたフェイクファーが表紙を全面被っています。寒かったので冷たくなった手にすると、ほのかな暖かさがありがたかった。開けると中…
さて、この絵本は閉じて置いてみると、ご覧のようにもう本だか何だか解からなくなってしまう。そこが好きです。そしてそれがまた不思議な毛皮ファミリーと同じように、可愛らしくてミスティックな雰囲気を持った装丁であることに気がつきます。誰がこのデザ…
横浜そごう美術館にて『鈴木信太郎展』がいよいよ始まりました。11月26日までです。93歳でなくなって没後もう十七年もたっているんですね。’90年の遺作展以来、待ち遠しかった久々の、大回顧展の始まりです。このブログでも以前に萬歴赤絵の色紙について…
以前、このブログで「珈琲」と題して(id:osamuharada:20050915)、もと京都イノダコーヒにいらした猪田さんと珈琲について書きました。今回その話にでていた猪田さんの“Akio BLEND"の、パッケージ・デザインを新たにぼくが担当させていただきました。中身は…
考えたらちょうど40年前は、ビートルズ来日騒動にも全共闘にもぼくは背を向けて、当時はほとんど誰も聴かないボブ・ディランにはまり、「戦争の親玉」などという曲を愛聴していた二十歳でした。あれからディランの様々に変化する新しいアルバムを聴き続けて…
マガジンハウスの雑誌ku:nel『クウネル』今号のなかの、「私の選ぶ1枚」というページで、ぼくは上野の国立西洋美術館にむかしからあるゴッホの「ばら」という小品を選びました。このテーマは読者がもしこの絵を観たいと思ったら、いつでもすぐに美術館へ出…
スペインの南、アンダルシア地方のグラナダは、イスラムが15世紀まで勢力を保っていたので、陶器やタイルなどにアラベスク模様の名残が今に続いています。といっても最近のグラナダ焼きはどこか民芸的な素朴さや味が薄くなってきて、その絵付けにも、ひな…
最近、NHKハイビジョンの番組『世界ふれあい街歩き』シリーズが好きでいつも見ています。世界の街角をゆっくりとハイビジョンカメラだけで歩くように撮影して、毎回違った人のナレーションがバックに流れます。特に中国の「鳳凰」という古い街の取材は素…
しつッこいようですが、また和洋折衷の続き。和室で朝の煎茶を飲む習慣も、やはり椅子に座ってということになってきて、以前はアトリエに置いてあったチャールズ・イームズのラウンジチェアを、竹の天井のある2階に持ってきました。椅子の背丈が低いので、…
昨日のニュースでは、水金地火木土天海冥の冥王星が、太陽系惑星の仲間から正式に外されたそうですね。なんでも地球の衛星の月よりも小さかったことが発見後に解かってきたらしい。冥王星は英語ではPLUTO。ギリシャ・ローマ神話にある冥界の神様の名前ですね…
前述の部屋を和洋折衷にした今年の夏は快適でした。もともとクーラー嫌いなので扇子かうちわ必携なのですが、これも和洋折衷スタイルの気分に合わせる(どうだっていい話ですが)となると結構難しい。そこでふと思い出して用いたのがコレ、銀座老舗の天ぷら…
地球的に異常気象が続くなかの、残暑お見舞い申し上げます。 猛暑で夏の昼間はグッタリですよね。それでも夕方になってすこし涼しくなったら、冷たいカクテルでほっと一息入れる毎日です。夏は西瓜カクテルが定番なのですが、最近バーテンダーに教わった西瓜…
前回に続いて別の部屋で、また和洋折衷を完遂。今度はそれまでアトリエの片隅に置いてあったイサム・ノグチのソファを移転しました。15年ほど前に買った、イタリア製でのリプロダクションですが、これのオリジナルは1946年のデザインです。ピタリぼく…
前に「竹の天井」のところで書いたアトリエ中2階の部屋では、富岡鉄斎に憧れ、枯れた文人趣味を気どって、端座して机に向かうつもりでいたのですが、この頃はトシのせいか膝がダメになり、正座はおろかアグラをかいて長時間座ることすら苦痛になってきまし…
『今日の買い物』の著者、岡本さんのブログ(mo'mo'fablog!)に、ジャズピアニスト、ジョージ・シアリングの古いアルバムのことが書かれてありました。以前ご本人から、お父上がジャズコンボでピアノを弾かれていて、シアリングの代表作でもある「9月の雨」を…
『ぼくの美術帖』に書いた鈴木信太郎は、特に長崎の景物を好んで描いていて、おくんちのオランダ万歳や、大浦天主堂、オランダ坂など、南蛮趣味ともいえるモティーフを得意にしていました。『阿蘭陀まんざい』(昭和29年東峰書房)という挿絵入りのエッセ…
島のアトリエは、近くに人家もなく見渡す限り山の緑と海という場所だったので、別棟を建てるときに2階のベランダに露天風呂をつくりました。これは周囲にせっかくの借景の自然があるからそれを利用しちゃおうという肯定的理由と、家の中に風呂場をつくると…
明かりのともる地球儀のあとで、ゆくりなく夏の風物詩「回り灯籠」を思い出したのですが、まわりの20代の若い人達に聞いても知らないという。電気仕掛けの盆提灯のことだと思っていた30代もいて、どうもぼくの好きな回り灯籠はとうに絶滅してしまったよう…
こないだ銀座伊東屋へ行ったら、何故かにぎやかに地球儀フェアをやっていたので、釣られて中に明かりのつく小さい地球儀をひとつ衝動買いしてしまいました。部屋を暗めにして机に置くと、青く光る地球を宇宙から眺めているような雄大な気分に浸れます。随分…
『ぼくの美術帖』では、北園克衛を書いた終わりの締めくくり部分に、黒田維理さんの文章(北園克衛論より)を引用させていただきました。ぼくの思っていたことが明快に書かれてあったので、初版の当時、ご本人の承諾を得て使わせていただきました。いま読んで…
前回、食べるほうを先に書いちゃったので、あらためて器のほうの話。谷道和博さんのつくる吹きガラスが好きで、一年おきにある新作展示会で少しずつ手に入れているうち20年以上たって、コレクターでもないのに気が付いたら沢山あつまってしまいました。経…
夏季限定の好物のひとつに冷むぎがあります。ぼくは細いそうめんが嫌いで、太くてコシと粘りある冷むぎ一点張りという頑固者なのです。みんなで箸を突っ込む流しそうめんなどはゴメンナサイです。夏の京都「晦庵河道屋」の冷むぎだけは別格に旨いけれど、東…