神保町・一誠堂書店

osamuharada2009-05-16

出光美術館」にて、室町時代から順を追って大正の富岡鉄斎まで、水墨画の大家が勢揃いの展覧会。観終わったら、いつしか気宇壮大の気分になっていた。どうもトシとるごとに、この文人画の芸術境が面白くなってきたようです。病んだ現代美術なんぞガキにまかせとけばいいのだ。 美術の古典は、観るだけにとどまらず、もっと知りたい知識欲にかられる。知れば知るほど久遠の世界は広がりを見せる。時代を超越した次元に到達することができちゃうのですよ。 
そうだ!久しぶりに古本屋へ行こうという気分になってきたので、昔よく通った神保町一丁目「一誠堂書店」へ。戦前からの立派な建物は、神保町古書店街でもこの店くらいしかもう残ってはいないでしょう。アールデコスタイルの階段を上って、二階の美術書専門のフロアへ。今も変わらず厳粛な感じがする、これが懐かしくて何故か落ち着く。古書の匂いが静かに漂う。窓の外は全面街路樹の新緑で覆われているので、ここが賑やかな神保町の交差点近くだとは、まず思えない。美術の和書洋書をゆっくり眺めていると、遠い歴史の襞のなかに潜り込んだようで、壁の古い大時計がタイムマシンに見えてきた。  読んで、見たい美術書が山のようにあるから、いつしか閉店時間近くになっていることを忘れていた。歴史ある落ち着いた古書店は、やっぱりいいよな。いまや古書籍もネットで簡単に手に入れられる時代だけれど、本と同じくらい古いたたずまいの書店で、古書を探す楽しみはまた格別ですね。 買った本を抱えて真向かいの洋菓子店「柏水堂」へ。アップルパイとコーヒーでひと息いれて、今日の収穫を確かめたのでした。