お茶の水・黒岩スリッパ店

osamuharada2009-06-02

服や靴を、上から下まで外国ブランドでキメてる人も、安売りで大満足してる人も、ファッションに関心が無い人でも、日本人なら仲良くみんなに共通してるのが、家に帰れば必ず靴を脱ぐというコト。ハイヒールでもスニーカーでも、まず玄関で脱いでから、家にあがるんじゃないと気が済まない。トータル・コーディネートなぞはお構いなし。家での土足は気分が落ち着かない。綺麗好きということも手伝っている。 いかなグローバル(新世界秩序)の世になったとて、コレばっかりはゆずれない。日本民族アイデンティティとしては、唯一コレだけが後世に残るのかも。
そーゆーワケで、ぼくも家やアトリエ、仕事場でさえも土足厳禁でした。スリッパは三十年ほど前から、納得のゆくものが必要だとばかり、お茶の水「黒岩スリッパ店」にて調達。探し求めていたのは、底がフェルト製のスリッパなのでした。ビニール底ではどうも気に入らない、梅雨時などニチャっとフローリングの床にくっ付く感じがダメなのです。滑りやすくとも断然フェルト底派です。春夏と秋冬で、上側の素材だけは季節に合わせて替えました。履き心地が大変良くてボロボロになるまで何年間も愛用。
最近、また同じスリッパ(写真の)を求めて黒岩さんで買ったのですが、これが今年いっぱいで最後になると知らされてガックリ。お店のチラシには、《 80年余りにわたるご愛顧 誠にありがとうございました。/ 生産終了のお知らせ 》とあり、《 職人の高齢化、高品質な材料の調達難・価格高騰の続く中、このたびスリッパ製造機械の国内生産が打ち切られました》と続く。またひとつ好きなものが消えちゃうのか・・・。そうだ、買いだめしとこっ、とひとり淋しくつぶやくのでありました。