2006-01-01から1年間の記事一覧

ホロヴィッツのハイドン

もともとハイドンの素朴で大らかな感じが好きだったので、ショパンやリストで鳴らしたホロヴィッツのピアノはどちらかというと苦手だったのが、死の直前に演奏したHOROWITZのThe Last Recordingを聴いて以来、ハイドンのピアノソナタ 第49番変ホ長調 Hob.XVI…

湯島シンスケの炒り豆腐

若い頃、日本橋「まるたか」という居酒屋に、酒飲みでもないのにハマっていたことがあったのは、そもそもが、かつては久保田万太郎ひいきの店だったからという単純な理由からでした。やがてそこの店の主人(志ん生に似ていた)も亡くなって、オカミさん(こっ…

還暦のゴムぞうり

赤いちゃんちゃんこなどはいらん、と娘に言っておいたら、じャあコレと、くれたのがこの赤いゴムぞうりでした。 先日も青学の中学高校の同期生150人が集って、いっせいに還暦祝いパーティーを敢行いたしました。必ずなにか赤いモノを身につけて来いという…

ヘレン・カミンスキーの帽子

初夏の島では、山中や海岸を散歩するにはサングラスと帽子は必需品です。トシとったからには、これがないと危険な状態になりかねない。そこでそろそろ夏帽子を新調しようとしたら、女性物専門だとばかり思っていた帽子デザイナーHelen Kaminskiの男物も出て…

三社祭

江戸から続く年中行事、浅草の三社祭を見てきました。最後の宮入りの日です。昼過ぎに築地からタクシーで行ってみると雷門付近は混んでいて、手前で下ろされたところが駒形でした。なんともうまい具合に、すぐ目の前が「駒形どぜう」の店先で、角には久保田…

銀座木村屋のあんぱん

雑誌クウネルのスマイルフードでは、冬のお茶請けは木村屋の桜あんぱんと話してしまいましたが、だいたいどの季節いつでも食べている(訂正します)のです。東京にいる時はほとんど毎日習慣のように銀座に出るので、四丁目の木村屋総本店に寄り、週に一度は…

木村伊兵衛写真集「パリ」

若い頃に買い逃してしまっていた一番好きな写真家木村伊兵衛の写真集「パリ」をやっと古本で手に入れました。昔に見たので今見たら古めかしく感じるだろうか?という懸念は、頁を開いたとたんに一掃されました。画面のなかに吸い込まれて、たった今そこに自…

小村雪岱

みすず書房版『ぼくの美術帖』では、小村雪岱の図版も元の本とは差し替えしてあります。その34ページに載せた団扇型の絵は、全体の構図はご理解いただけても、モノクロームなのでその色使いの妙までは判らないでしょう。これはその団扇絵の一部分をクロー…

吉田五十八の「リーチバー」

京都でお花見を堪能したあと、足をのばして大山崎山荘美術館へ行きました。期待していたバーナード・リーチや濱田庄司らの民芸作家コレクションは、2級以下の作品ばかりでちょっとガッカリ。おまけに英国チューダー様式山荘にくっついている半地下の、ぼく…

川端 実

『ぼくの美術帖』復刊にぴったり(自分にとって)のタイミングですが、4月8日から6月4日まで、京橋のブリヂストン美術館に我が師である川端実先生の作品が1点出品されているので早速いってきました。はやる心で、順番どおりに観るというのももどかしく、…

NANCY

前回でお知らせした『ぼくの美術帖』の目次の中で、多分どなたも(相当な美術マニアでも)ご存知なかろうという人名「アーニー・ブッシュミラー」さんについて説明します。まず画家ではなくて、1905年生まれの漫画家でした。それも1940、50年代の…

「ぼくの美術帖」復刊

24年も前に出版されたぼくの美術エッセイ集が、みすず書房さんから復刊されました。なにしろ若い頃(36歳)のつたない文章(今でもほとんど変わらない)ですから、躊躇したのですが、そのままでも良いとのことでしたので、ついに恥ずかしながらの復刊で…

スマイルフード

今日発売の雑誌『クウネル』19号(マガジンハウス)。その後ろの方でsmile food という連載コラムが始まりました。1回目が(何故だか?)ぼくの出番で、10種類の好きな食べ物を選ぶことになりました。いつも飽きずに食べたり飲んだりしているもので、飲食…

紫野松風

「珈琲」のところで書いた京都の「はしもと珈琲」さんにまた行ってきました。飲んだコーヒが「紫野ブレンド」。ぼくにとって紫野(むらさきの)は祖父ゆかりの地名なので、なんだか嬉しくなる命名です。もちろん猪田さんゆずりの旨いコーヒです。 そこでぼく…

ミック・ジャガー

ロッケンロールなローリング・ストーンズよりも、ぼくはミック・ジャガーのソロ・アルバムのほうが断然好きです。'85年のアルバム“SHE'S THE BOSS"の中のバラード「ハード・ウーマン」を聴いて、すっかりその歌唱力にハマりました。言うまでも無いことながら…

カフェ・ド・フロール定番メニュー

前述のラ・ユンヌでの写真が逆光だったので、昨日meikoさんは、今度は明るい時に行って再び店内の「オサムグッズ スタイル」をしっかり撮ってきてくれました。ありがたいです。そして本の置いてある窓から外を見た、カフェ・ド・フロールもちゃんと撮って来…

佐四郎人形

キャラクター専門家になった頃の昔、職業柄というか、可愛いさ研究の途次に見つけたのが、久保佐四郎の人形でした。戦前の帝展(今の日展)に人形部門ができて、人形師も立派な芸術家として、ちょっと格が上った頃の人形作家の一人です。ただ佐四郎は創作人形…

サンジェルマンのラ・ユンヌ書店

パリに住んでいるぼくのイラストの弟子meikoさんから、メールで嬉しい写真が届きました。サンジェルマン・デ・プレにある有名な本屋さんLA HUNEの2階、美術書コーナーに「オサムグッズ スタイル」が置いてありました。逆光ですが左の方に何冊か立てて並んで…

蝋梅

島の友達を訪ねたら、庭にいい香りで咲いていた蝋梅があったので、頼んで一枝切ってもらいました。たったこれだけの枝でも、リビングの小さい部屋に置いてみると強い芳香が満ちてきます。普通の梅も好きだけれど、蝋梅の下向き加減に咲く、この黄色いワック…

男の流行

紙巻煙草はやらず、若い時分からのパイプ党なのですが、50を過ぎた頃、ぼくも葉巻が旨くなってきたので時々これを併用しています。最近気がついてビックリしたのは、その葉巻が今や大流行しているとのこと。シガーバーなるものも増えて、ビシッと細身の縞…

プリン

朝昼晩と日に3度、あいも変わらずの煎茶好きですが、昼間3時のおやつだったら、煎茶にピッタリくるのは「プリン」であると決めています。もともと京菓子、最中、羊羹の類いは甘すぎて苦手なので、いつも自分流のお茶請けには、そんなに甘くない甘いモノを…

ビッグ・リボウスキ

この10年間での、ぼくの好きな映画ベスト・ワンは'98年『ビッグ・リボウスキ』。未だにこれを超える映画に出会っていません。コーエン兄弟の脚本監督作品としても最高の喜劇だと思うのですが、映画マニアの評価はかなり低い、マニアなんて何にもわかっちゃ…

更紗

アジアの古い更紗が好きです。この本は「南蛮更紗」というエッセイ集で、著者は言語学者の新村出、あの「広辞苑」の編者です。16世紀日本に渡来した南蛮趣味について書かれています。装丁は古渡りの更紗を復元した布張りで、恩地孝四郎のデザイン。 古く更…

銀座 ミヤコ

銀座が凄い勢いで変貌しつつあります。欧米ブランドの巨大な路面店ばかりになってきているけれど、これは再開発という名目で、実は外資系の銀座乗っ取り作戦なのです。ディオールとコーチの間にあるマツモトキヨシも実体はすでに外資系企業なのですよ。あの…

琺瑯のプレート

アトリエの入り口の壁に取り付けてあるのは、ほうろう引きの古いプレートです。エナメルともいいますね。板のふくらみといい、文字の盛り上がり具合も好きです。グラフィックデザイナーという商売柄、アルファベットの書体を見るとつい欲しくなるんですね。…

竹の天井

奇妙な写真ですね。これは天井高が6mあるアトリエの、中2階に造った和室なのです。アトリエでは大きな抽象画を描き、和室では水墨画を描くつもりで、20年ほど前に自分ですべて設計しました。アトリエのほうは、予算も無いことだし、鉄骨構造むき出しで…

竹の天井 続き

このスノコ天井、竹と竹の間には漆喰が無造作に垂れ下がるという、古い民家の天井を真似してみようと考えました。ところがこの建物では左官屋さんが天井裏から漆喰を流すための作業スペースが無かったのです。昔の大きな民家とちがって、天井裏の空きが30…

戌年

明けましておめでとうございます。去年の元旦にこのブログを始めて一周しました。日記にはなっていないし、どうでもいい話ばかりでしたが、書いてみると(ぼく自身には)結構楽しいものでした。先日、もと体育会系の親友(某スポーツ新聞社重役)が、ハラダの…