「ぼくの美術帖」復刊

osamuharada2006-03-30

24年も前に出版されたぼくの美術エッセイ集が、みすず書房さんから復刊されました。なにしろ若い頃(36歳)のつたない文章(今でもほとんど変わらない)ですから、躊躇したのですが、そのままでも良いとのことでしたので、ついに恥ずかしながらの復刊であります。終わりのところでは後書きにかえて、その後のぼくの美術遍歴を新たに書き加えました。図版も若干入れ替えて前より見やすくなりました。かくして4月3日から、いよいよ発売というような仕儀に相成りました。
「ぼくの美術帖」原書を知っている方は稀なので、目次を一応ここに掲げます。❶・ティツィアーノ、ラウル・デュフィ小村雪岱木村荘八鏑木清方宮田重雄鈴木信太郎、アーニー・ブッシュミラー、チョン・デイ、オットー・ソグロー、北園克衛川端実、❷・美意識の源流(その一、その二、その三)、戦国時代の兜、江戸歌舞伎、浮世絵師たち、俵屋宗達富岡鉄斎岸田劉生、以上です。新たに、後書きにかえて登場するのは、アルフレッド・シスレー、マイヨール、クルト・シュヴィッタース長谷川等伯、それにわが師の川端実その後の話です。こう並べて書いてみるとかなりマニアックでしたね。
すべてぼくの個人的に大好きな美術家についての話と、独自に考えた日本美術史の話で構成されています。稼業のイラストレーターとしてではなく、あくまで個人的な、市井の一美術愛好家としての文集といった本なのです。仕事ではなく、まったく個人的な自分の本の宣伝というのは、つくづくテレくさいもんだなァということに、たったいま気がつきました。それになんとこの本は、みすず書房大人の本棚>シリーズの一冊になるのです。ぼくの前に出版されたのが湯川秀樹著だったりするわけで、かなりの緊張を強いられています。これでぼくも大人の仲間入りだぜ!と無心に喜んでいるわけではありません。そこんところ4649ね。
「ぼくの美術帖」の装丁→ (id:osamuharada:20061204)

ぼくの美術帖 (大人の本棚)

ぼくの美術帖 (大人の本棚)