琺瑯のプレート

osamuharada2006-01-10

アトリエの入り口の壁に取り付けてあるのは、ほうろう引きの古いプレートです。エナメルともいいますね。板のふくらみといい、文字の盛り上がり具合も好きです。グラフィックデザイナーという商売柄、アルファベットの書体を見るとつい欲しくなるんですね。これはもう30年くらい前の、パリへ行ったときにクリニャンクールの古道具屋で見つけました。特にアトリエという言葉に、何か自分では強く感じるところがあった記憶があります。その10年後にアトリエを持つことになろうとは、まだ想像だにしていなかったのですが、店先でこれを手にした瞬間、まだ見ぬアトリエの白い壁面が浮かび上がりました。それでいよいよアトリエを建てる段にはその時のイメージどおり、白く塗ったレンガ壁に、この琺瑯のプレートを取り付けました。パリでの事はデジャビュだったのかもしれませんね。
前回くだんの左官屋さんは、本来の茶色のレンガに白目地できっちりと壁を積み上げてくれたのでしたが、完成後にぼくが最初のイメージどおり全部を真っ白に塗っちゃおうか!と言ったら、顔面蒼白になって怒り出しました。竹の天井とともに、今でも左官屋さんが絶対気に入らない、しかしぼくには大満足の仕上がりなのでした。