NANCY

osamuharada2006-04-07

前回でお知らせした『ぼくの美術帖』の目次の中で、多分どなたも(相当な美術マニアでも)ご存知なかろうという人名「アーニー・ブッシュミラー」さんについて説明します。まず画家ではなくて、1905年生まれの漫画家でした。それも1940、50年代のアメリカで最も人気のあったKid Strips(子供向けマンガ)のカートゥニストなんですね。マンガも美術かよと言われるとちょっと困ってしまうのですが、ぼくにはその絵そのものが好きなので、そういう見地から書いてみたまでのことです。女の子が主人公『ナンシー』のマンガは言葉よりも絵によるギャグのオチが多い、つまり落語でいうところの「見立て落ち」が素晴らしいのです。というようなことも分析(エラそうですが)してあります。
写真は文中に出てくるニューヨークの古本屋でぼくが手に入れたナンシーのマンガです。今見てみたらどれも50年くらい前の古本でした。子供達が10セントで買えた薄いマンガ本で60冊ほどあります。一緒にいる男の子はスラッゴ君です。版権に絡むので、ここでは表紙しかお見せできませんが、ぼくの本の中ではアーニー・ブッシュミラーの原画から版をおこして挿画にしてあります(許可アリ)。この原画を手に入れた時のエピソードも本に書きました。復刊のおかげで久々に読んでいたら、ゆくりなく1979年のニューヨークでのアレコレを懐かしく思い出してしまいました。それは当時ニューヨークに住んで仕事をしていた、今は亡きペーター佐藤を友達と訪ねていった旅なのでした。