更紗

osamuharada2006-01-16

アジアの古い更紗が好きです。この本は「南蛮更紗」というエッセイ集で、著者は言語学者新村出、あの「広辞苑」の編者です。16世紀日本に渡来した南蛮趣味について書かれています。装丁は古渡りの更紗を復元した布張りで、恩地孝四郎のデザイン。
古く更紗は茶道の茶入れの巾着などに使われたりしましたが、江戸時代も後半、文化文政時代になると女性のファッションとして大流行していたことが、歌川国貞の描く浮世絵などによく見られます。海の向こうのエキゾチシズムとして、お洒落な人々の間で珍重されていました。
三大更紗といわれるペルシャ、インド、ジャワの更紗ですが、色やデザインの良いものになると百年以上は前のものになります。銀座「むら田」さんでは、先代ご主人が収集された古い更紗やイカット(木綿の絣)、タイ、ラオス、カンボジャの絹絣などを帯に仕立てています。これに紬の着物という組み合わせが、ぼくの一番好きな女性の着物スタイルですが、男はただ指をくわえて見ているだけですね。訪問着などではなく普段着になるのでしょうが、なんと贅沢でハイセンスな組み合わせでしょうか。銀座「むら田」さんは広尾のほうにも「むら田染織ギャラリー」があり、ここでは古い更紗やイカットの布地、バッグ、小物などを展示販売しています。ぼくがもし着物好き女性だったら、このお店欲しい物だらけなので破産しちゃったところでしょう。せめて更紗の装丁本でも飾ってガマンしています。
 「むら田染織ギャラリー」 渋谷区東4−12−19.Tel(03)3409−5622