パイナップルケーキ

osamuharada2014-04-22

気にいった台湾緑茶を手に入れてみると、次にはそれと相性がよい〈茶うけ〉をどうするか、が閑人にはモンダイなのです。中国式の微発酵の緑茶では、茶うけの菓子も日本の煎茶と同じようなわけにはいかないのね。
台北の、あちこちの店で見かけたのは、台湾名物【パイナップルケーキ】でした。大流行している。早速これならきっと台湾緑茶にあうはずだ、といくつか試してみた。しかしどこの店でも、ケーキの生地にバターではなく豚のラードを使うから、例の〈台湾臭〉が感じられ、ぼくの好みじゃない。中国の「月餅」や、沖縄の「ちんすこう」同様で、ラード生地の臭み堪えがたし。
そして肝心の中身の餡は、台湾産パイナップルでつくられているはずなのだが、これがどうもパイン味がはっきりしないのね。冬瓜を加えた餡などもあり、砂糖甘いだけで酸味が希薄。餡の色は濁った茶色で、見た目もよろしくない。またしても「名物に旨いものなし」か、はたまた「看板に偽りあり」なのか。
ついでに、台湾産パイナップル本体の味はどうなっているんだろうかと気になって、台北で大人気のフルーツパーラー『百果園』にもいってみた。ところが、これまた実物なのにパインの味覚がはっきりしない。フレッシュネスがまったくない。薄味というのも変だが、どうも台湾の風土がパイナップル生産には合っていないのかもしれないな。茶葉を育てるにはよく合ってるけれど。
沖縄に戻って、今年はじめ那覇にできたばかりの『 沖縄県産パイナップルケーキ専門店:KUKURU 』で〈茶うけ〉に試してみたところ、これがすなわちヤツガレには究極の味でした。細かくきざんだパインの歯ごたえを残し、沖縄名産シークワーサーの酸味が隠し味になっている爽やかな餡。ケーキ地のほうは、しっとりとしてしかも軽く、生地にバターと卵、アーモンドを使用。これなら台湾臭フリーだ。契約農家が作るパイナップル。材料を吟味することに徹底していて頼もしいかぎり。
さて本日の、微発酵の台湾緑茶は、台北市『永康茶館』。無添加100%台湾産とある「碧螺春緑茶」。花柄の茶碗は、前に書いた『茗泉堂茶荘』→[id:osamuharada:20140304] この茶と菓子の組み合わせに、エキゾチック南国の風趣がありました。