赤絵の皿

osamuharada2013-10-03

秋になると、いよいよ我が食卓(和食の場合)では銀座東哉さん製「赤絵の皿」の出番です。焼き魚や煮魚にして、明石の鯛、島根のノドグロ、五島の金目、沖縄のアカマチ、カサゴメバルといった赤色系の魚が赤絵にはとてもよく似合うと思う。この場合、似合うというのは「より旨そうに見えて食欲を誘う」といった視覚効果のことですね。陶磁器は何を盛るかによって見違えるほど美しく映える。最近すっかりハマってしまった天草名物「蛸の桜煮」などにもピッタリ。写真右下の皿に置けば、たかが蛸の足といえども立派な日本人の味覚だなあ、とつくづく実感しちゃう。
赤絵ばかりじゃ派手すぎるので、もちろんブルーの染付けもイカ刺しや酢の物などに使って組み合わせる。さらにグレーの三島手の器に、おひたしなどグリーンでバランスを整える。これに白磁青磁の小皿小鉢が加わる。こうして自分が気に入った器ばかりで、テーブルセッティングを楽しむというクセは、もとよりデザイナー上がりの習性なのでしょう。レイアウトを考えるだけで食欲が増してくる。最後の仕上げに吹きガラスの酒器を選んで、秋の夕餉のスタート。
器は変わらなくとも、ぼくの食卓から東日本産の食材が(個人的に)消えてしまったのが口惜しくも残念でならない。生まれ故郷の江戸前東京湾)の魚介類などは、311以後、無検査のストロンチウム90が怖くてほとんど口に入れてはいない。それでも方角をかえれば、九州西南で黒潮が最初にぶつかるあたりから水揚げされた魚介類がこんなに旨かったのか、と改めて目から鱗の大発見(これも個人的に)もあった。これはヤツガレの考えでは例の「邪馬台国=海洋系縄文人」が培った伝来の味覚ということになっちゃう。と、まあ相変わらずのどふでもよゐ話なのですが、食器を選ぶのとおんなじことで、食べ物も単なる好みの問題ですから、「風評被害」やなんかでどうだのこうだのは御勘弁のほどヨロシクね。
      秋 の 雲 み づ ひ き ぐ さ に と ほ き か な    万太郎