銀座「はち巻岡田」

osamuharada2013-02-28

先週、寒波がきつかった東京。友と銀座を歩いていたら冷えきって、ついたまらず「はち巻岡田」にとびこみ菊正の樽酒、熱燗で一杯。そして冬の名物〈鮟鱇なべ〉。濃い口のダシは、久しぶりに東京へ帰った気がする東京の味覚。あとの卵をかけた雑炊で心身ともに暖まった。今年の東京の寒さには、ちょっとこたえたな。所用が済んだら、すぐにまた温暖な沖縄へ戻ってきてしまった。寒冷にたいして意気地がなくなってきたのはトシのせいだろう。鍋の火を見ていたら、久保田万太郎の一句を思い出した。
   鮟 鱇 も わ が 身 の 業 も 煮 ゆ る か な
「熱燗(あつかん)」も「鮟鱇(あんこう)」も十二月の季語だけれど、〈鮟鱇なべ〉は東京も寒さの極まる二月きさらぎのほうが旨いような気がするな。 しかし沖縄では、冬でもさすがに鍋モノはいっさい食べる気がしない。さて明日から、はや三月やよいか…。
   東 京 の 雁 ゆ く 空 と な り に け り       万太郎 
帰雁(きがん)、ゆく雁(かり): 越冬した雁は、春になると北のシベリアあたりに帰ってゆく。雁には日本の冬のほうが暖かかったわけだ。とまれかうまれヤツガレも、雲水不住の、渡り鳥になってしまったようだ。