今年の新茶

osamuharada2011-06-07

こないだは京都へ行っていたので、例によって毎朝の煎茶を、と寺町の一保堂茶舗「嘉木」へ通い続けた。今年も京都「宇治の新茶」はとてもうまかった。古い京言葉でいう「ほっこり」がまた味わえた。しかし気になるのが、東日本では箱根のふもとまで茶葉からセシウムが検出されていること。日本茶の四割は、すぐ隣リの静岡産だ。今年の新茶はどうなっているのだろうか?とつい考えてしまう。静岡県は検査が遅れて、やっと二番茶からはチェックをするとのニュースがあった。すでに出ている静岡の新茶はどうだったのかは結局わからずじまいだ。
人災がこんなところにまで及ぶとは、とせっかくの新茶を飲みながら、次第にハラがたってきた。日本の自然が汚染されれば、日本のゆかしき伝統文化もやがては消滅するのだろう。たったひとにぎりの利権やカネを追い求める連中のために、やがて一国が亡ぶことは愚かしきことだが、残念ながら近代の歴史はだいたいそうなっている。
以前、ある東京の骨董屋で煎茶茶碗を買ったときに、若い店主は、茶道と茶碗についてのウンチクをとうとうと述べた後で、市販されているペットボトルの煎茶を骨董の冷茶茶碗に入れて、客であるヤツガレに出してくれた。まずいだけではなく、ワルイけれど、農薬や防虫剤を大量に使う大量生産の茶はエンリョしておくよと断わった。それ以来、その店には行っていない。
これからはセシウム放射能半減期三〇年)がブレンドされた煎茶も断わらなくちゃならないから、いちいち言いわけするのがメンドクサイ。こっちがうまく言いわけできたつもりでも、どうせ風評に踊らされた、ただの臆病者め、とバカにされるだけだから、ふんだりけったりというもんだ。ただ落ち着いた気分の中で、ユックリ美味い煎茶を心おきなく飲んでいたいだけなのにね。
ちなみに去年の新茶ノート→[id:osamuharada:20100531]
【 6月 18日・追記】 ついにフランスで、「静岡産」茶葉からセシウム(規制値の約2倍・1038ベクレル)が出ましたよ。→http://www.chunichi.co.jp/s/article/2011061890105936.htmlパリで押収された。 http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20110618-OYT1T00264.htm