夜店の白梅

osamuharada2009-01-03

おととしの暮れの上野で、友達と酔っぱらって夜店をヒヤかしていた時、つぼみばかりの鉢植えの梅の木を眺めていたら、威勢のいいお兄さんが、こいつァ元旦の日から咲きはじめるんで、というので半信半疑ながらもつい買わされてしまった。ほんとかな?酔いから醒めて思ったが、はたして去年の元日からちゃんと咲きはじめて、松の内が過ぎた頃には散っていった。その後東京の空の下、せせこましいベランダに出しておいたが、今年また正月元日から咲きはじめたのには、ちょっと驚きましたよ。きちんと律儀なところが、けなげで可愛らしいじゃありませんか。部屋のテーブルに置いて、三日目の今宵は七分咲きくらいかな。身の丈わずか50cmほどの小枝ぶりながら、室内にほのかな梅ヶ香を漂わせている。気品のある、よい匂い。白玉が次々と開花するのを、ただただ見とれるばかりです。毎年花が咲く時期まできっちりと計算ができる、プロの植木屋さんにも頭が さがります。年年歳歳花不断。日本人はいつも季節と自然を愛でることに関して、素晴らしい感性を持った民族だったんだなぁなどと、つくづく感じ入ったようなわけで…。    
    冬 の 梅 咲 き て よ き こ と つ ゞ き け り    万太郎