ケイト・ブランシェット

osamuharada2009-01-06

今月号の Interview 誌、オーストラリアの女優ケイト・ブランシェットが表紙を飾っていて、ARTの特集記事に名を連ねている。それも現代美術でおなじみダミアン・ハーストやジェフ・クーンズ、リチャード・プリンスにシンディ・シャーマンといった面々に混じっているので、ケイトのファンとしてはつい買ってしまったのです。 もとよりスノッブな「インタヴュー」誌のことだから、ARTったって、たいした事は書いてないけれど、女優として、そのカメレオンのように色々な役を演じ分ける、芸術的才能が大いに賞賛されていたので、ファンとしては嬉しいわけでした。 
’98年の英国映画『エリザベス』で、主役のエリザベス一世を鮮烈に演じたのを観て、ぼくはたちまちファンになりました。美人ではなく、クセの強い、なにかヘンに迫力のある女優さんですよね。演技過剰な時もあるけれど、芝居そのものを前向きに面白く進行させる演技力には、いつも感動させられる。 主役でなく脇役にまわっても、個性がきわだって、つまらない映画でもケイトが出ているシークエンスには、良質の芝居を観た時にだけ感じる一種のカタルシスがある。’99『リプリー』のブルジョワ娘の役も、’03『コーヒー&シガレッツ』いとこ同士の女優と元ヒッピーの一人二役も良かった。しかし’04年の『ライフ・アクアティック』と『アビエイター』という幼稚な作品では、こんな学芸会映画にわざわざ女優ケイト・ブランシェットの出演はもったいないだろう。 最近の、老いたりスピルバーグの駄作’08『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』にいたっては、せっかくのケイトが宝の持ち腐れというもんだよね。 いくつかの主演映画も、いまだ『エリザベス』を超える名作には巡りあえてはいない気がするな。続編で、同じインド人のシェカール・カブール監督’07『エリザベス:ゴールデン・エイジ』は、前作に比べたら映画そのものがつまらなくなっていて残念でした。 女のケイトがボブ・ディランになりきって演じる’07『アイム・ノット・ゼア』も、鼻持ちならないオタクのスノッブ映画で、ディランのファンとしてもあきれ返っちゃったが、ケイトのソックリさん振りだけは楽しめた。さすがに男役では宝塚っぽい感じもするが、車の中で記者と口論になるシークエンスでは、ディラン役のセリフに演技の底力がみえて、ケイトはひとり輝いていた。これからもますます目が離せない女優さん。  余談ながら、ケイトの出ている場面で、ディランの‘Positively 4th street’をかけたところだけは、このオタク監督のディラン・オタク度をほめてあげたい。この曲は大昔シングル盤で一度出て、ずーっと後のベストアルバムに収録されて知られるまでは、まぼろしの名曲だったはず。ぼくも大好きな一曲だったので、コレばかりは嬉しかったな。

Interview [US] December January 2009 (単号)

Interview [US] December January 2009 (単号)