築地ホテルのフランス料理

osamuharada2008-09-18

秋のメニューは、まず小海老を裏ごししたクリームスープ、ローストビーフ、温野菜、トリュフ入りのジビエのパイ包み、デザートはフルーツ入りプディング。料理人は来日したフランス人シェフです。なかなか旨そうな本格的フランス料理ですね。 築地はぼくの地元で、ウチから歩いても5分の場所だけれど、残念ながらここへ食べにゆくことあたわず。何しろコレは137年前の、築地ホテル館(通称)てとこのメニューなんだもんね。 明治四年、天長節を祝うパーティー(明治天皇二十歳のお誕生日会)での料理メニューだったのです。 築地ホテル館は敷地7000坪、102室もある外国人向けのホテルで、全室暖房付き。東京湾に面した絶景ウォーターフロント。現在は築地魚河岸の駐車場。 最近は幕末モノが流行ってますが、このホテルの完成したのが江戸時代最後の慶応四年の八月。一ヵ月後の九月から明治元年になるワケで、何故か明治維新と全く同時(ここらへんが怪しいね)のスタート。施工は清水建設。当時の江戸っ子たちは日本最大の西洋風建築にビックリ。庶民は中に入れてもらえなかっただろうけれど、明治最初の観光名所になり、浮世絵にも多く描かれた。今は昔の六本木ヒルズ(リーマン・ブラザーズのいた頃)みたいなもんだろうか。 築地ホテル館の浮世絵を見ると、不思議なことに屋根の上にはイギリスの国旗ユニオンジャックがはためいている。それなのに大日本帝国海軍の最初のオフィスも、このホテル内にあったそうだ(ますます怪しい)。ホテル後ろの東京湾には外国船あまた並ぶ風景が展開。 しかし何故かこのホテル、このメニューの次の年、明治五年には全焼してしまった。その後は海軍兵学校などができちゃう。怪しいといえば、このメニューには、ちゃんとフランス語で正式ホテル名が出ていますよ。「 HOTEL DES COLONIES 」、訳せば【 植民地ホテル 】じゃないか! いったい明治維新って、ほんとは何だったのか? 教科書の歴史や、テレビの大河ドラマじゃ永久に解ッからないぞ、ということだけは解ります。