冷むぎ

osamuharada2006-06-24

夏季限定の好物のひとつに冷むぎがあります。ぼくは細いそうめんが嫌いで、太くてコシと粘りある冷むぎ一点張りという頑固者なのです。みんなで箸を突っ込む流しそうめんなどはゴメンナサイです。夏の京都「晦庵河道屋」の冷むぎだけは別格に旨いけれど、東京の蕎麦屋で出す冷むぎはうどんと同じく問題外。という偏屈な冷むぎファンとしては、とどのつまりが国内産小麦100%手延べ冷むぎ(いくつか好きな銘柄あり)を毎年ひと夏分仕入れ、自分で茹でては(アルデンテが大切)暑い夏をやり過ごしてきました。
冷やむぎの器には、見るからに涼を呼ぶ、やっぱりガラスの大鉢がいいですね。陶磁器ではなんだか暑ッ苦しい。ぼくの愛用する冷むぎの鉢は、谷道和博さんの吹きガラスです。大きくて重たいから、これを一人で宙吹きはさぞ大変な仕事でしょうねと谷道さん本人に聞いたことがありますが、やはり花器や大鉢になると奥さんの助けが必要なこともあるんだそうです。千何百度という高温での仕事なのに、出来上がったものは見るからに涼しげというのが不思議ですね。
20年ほど前、銀座「たくみ」でフリーになったばかりの谷道さんの吹きガラスを手にして以来、グラス類や盃だけでも数十個になってしまいました。他に刺身用の皿や小鉢、徳利やデカンタに花瓶、そして冷やむぎとサラダ兼用の大鉢が3つ。いずれの吹きガラスもすべて現役で、ことに夏には全員フル回転。あとは今年も、何とぞ良い日本の小麦が収穫されて旨い冷むぎにありつけることを願うのみであります。