FASHION ILLUSTRATION 展

osamuharada2016-03-25

わが親友ペーター佐藤が逝ってから二十一年が過ぎました。80年代のニューヨークでは、ファッションイラストを描いて時代の先端を歩いていた。日本ではバブル経済でファッション界も大盛況といった頃、ペーター描く美人画は一世を風靡した感がありました。
いつだったか若い頃、二人で京都の丸太町通りにあった古本屋をヒヤかしていたら、50年代のヴォーグ誌が山積みに置いてあったので、ペーターは静かながらも興奮しつつ、抱えきれないほど買って帰ったことがありました。ぼくも運ぶのを手伝った。そのときの幸運な収穫を、嬉しそうに後々までも語りあったことが懐かしい。 ペーターからは欧米のファッションイラスト史について教えてもらった。ペーターはフランスのルネ・グリョーが好きだった。ぼくからは江戸期の浮世絵版画がファッションイラストの役目を負っていたことを教えて、一緒に研究をした。ペーターは春信や英泉が好きになり、鏑木清方に傾倒した。美術館と博物館めぐりもよくした。アメリカのピンナップイラストの歴史も共に考察したことがある。ペーターは特にジョージ・ペティの美人画に強く影響を受けて自身のスタイルを築いていった。
故・森本美由紀さんもルネ・グリョーに憧れて、ノスタルジックに60年代ファッションの世界を見事に再現していた。早くからペーターは森本さんの才能を認め、ペーターズギャラリーでの個展を企画しては売り込んであげていた。いつも森本さんのことをホントにうまい人だよねと誉めていた。ペーター亡きあと、パレットクラブスクールでは森本さんがクロッキーやデッサンを教えることになり、専属のモデルさんをたて本格的なファッションイラストの基礎を自らが楽しみながら教えていました。
どのような時代であれ「ファッション」が無くなるということはなかったでしょう。歴史上お洒落を楽しむ人々が絶えることはなかった。その風俗を描く画工たちの「ファッションイラスト」もまた連綿と続いています。 パレットクラブでは、故人となったペーター佐藤森本美由紀と、現在もファッション分野で活躍中のイラストレーターたちとの【 FASHION ILLUSTRATION 展 】を開催いたします。
part 1(4月1日〜17日) : 網中いづる・飯田 淳・上田三根子・河村ふうこ・平澤まりこ・前田ひさえ・吉岡ゆうこ
part 2 (5月5日〜22日) : ペーター佐藤森本美由紀
レセプション、トークショー、ワークショップなど詳細は、Palette Club News にて。→ http://www.pale.tv