推理小説ファン

osamuharada2016-03-10

北欧ミステリー【 ミレニアム4:蜘蛛の巣を払う女 】を、あっという間に読み終わって、つくづく推理小説はまだまだ面白いなと思った。このミレニアム・シリーズは、最初に映画で見て気に入り、ただちに1、2、3と原作本を読んですっかり愛読者になった。こんどの4は、すでに亡くなっている原作者のあとを、別の作家が引き継いだものだが、もとの原作者が書いたと思えるほど見事に継承されている。読者の期待をまったく裏切らない。また次が楽しみだ。
ぼくの場合は、映画「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」を見たのが先だったので、ヒロインの「リスベット・サランデル」役を演じた(好きな女優)ノオミ・ラパスが頭に入っちゃっているから、読みはじめるとすぐ彼女が目に浮かんだ。リスベットが NSA ( アメリカ国家安全保障局 )をハッカー攻撃するときの、相手に送る言葉《 国民を監視する者は、やがて国民によって監視されるようになる。民主主義の基本原理がここにある。》が、かっこいい。スノーデンや、ウィキリークスのアサンジが下敷きになっているのだろう。
雑誌ミレニアムの記者「ミカエル・ブルムクヴィスト」は、もとの原作者がモデルにし、映画でも実際に演じた俳優ミカエル・ニクヴィストしか思い浮かばない。リベラルなジャーナリスト役。リメイクのハリウッド版で同じ役を演じた(007の)ダニエル・クレイグはミスキャストだったと思うな。ストックホルムの街の景観も、すでに映画でインプットされてお馴染みだ。読むというより映像体験をしているようだった。書評はどれも評判がよいので何も言う必要はないけれどオススメしたい一冊です。ミレニアム1、2、3については→[id:osamuharada:20100923]に書いていました。
【 どふでもよゐ話 】ところで、ヤツガレがミステリー好きになった事始めはいつごろだっただろうか? とついさっき考えてみたら、小学生の頃のことだった。毎週土曜の夜に見ていたテレビドラマ【 日真名氏飛び出す 】で目覚めたのを思い出しました。調べたら、かの双葉十三郎さんが原案を書いていたと分かった。どおりで各タイトルからして翻訳ミステリー調だ。「バレリーナと拳銃」「スターへの脅迫状」「列車で逢った女」「幕をおろせ」「人を呪わば」「追いつめられて」「一枚の特急券」「アンブレラ作戦」「湖畔の銃声」「誰かが殺られる」「犯罪遠近法」などなど。洒落ていた。
当時は江戸川乱歩の少年探偵団が大嫌いで、名探偵・明智小五郎も気に入らない少年でしたが、テレビの名探偵・日真名(ひまな)進介氏は好きになりました。銀座の三共ドラッグストアが事務所がわりで、せっかちなカメラマン助手の泡手大作(あわて だいさく)がコメディ・リリーフ。ドラッグストアに勤めているお姉さんたちも美人ぞろい。蝶ネクタイの日真名氏は、いつもヒマそうにパイプをふかして登場していたが、事件が起ると俄然として冴えわたる。演じた俳優・久松保夫の低音の口跡がまたよかった。同じ頃に西部劇「ララミー牧場」のジェス役の声優としても人気が上がった。
中高生時代からの推理小説ファン歴は、早川書房の「ポケミス」と雑誌「ヒッチコックマガジン」から始まったということになる。短編ミステリーの名手ヘンリー・スレッサーが大好きだった。刑事モノではエド・マクベインの「87分署」シリーズにハマった。リーガルミステリーは E・S ガードナーの「弁護士ペリー・メイスン」シリーズを好んだ。ハードボイルドの私立探偵モノでは、通俗的な「マイク・ハマー」がまあ好きで、チャンドラーの「フィリップ・マーロウ」はちょっとキザな感じがしすぎた。客観性のない一人称モノはなんとなく退屈だった。ハマーは「俺」でマーロウは「私」の翻訳だったかな。むかしから推理小説を単なるヒマツブシとして読んできたのは、ヒマな日真名氏のせいだったのか、といまにして思いいたった。

ミレニアム 4 蜘蛛の巣を払う女 (上)

ミレニアム 4 蜘蛛の巣を払う女 (上)