映画「オデッセイ」

osamuharada2016-02-13

俳優マット・デイモンを好きになったのは、アクションもの「ボーン」シリーズが始まってからで、それまでの文芸映画では生真面目な感じがしすぎて、ぼくにはちょっと物足りなかった。こんどの『オデッセイ』は、リドリー・スコット監督で3DのSF映画だという。ゴールデングローブ賞ではコメディ&ミュージカル部門で作品賞をとっていたから、一体どんな映画なのかワケがわからない。邦題だと壮大な宇宙モノにもみえる。ともかく前知識はなくとも、好きな俳優と監督で観ることにしました。期待はしていなかったけれど、これが実に面白い! 大人のエンターテインメントになっていた。(注意:以下はネタバレです。)
音楽の使い方が洒落のめしていて、なるほどコメディとしてもイケてる。なかでもデヴィッド・ボウイの曲が出てきたところで笑えた。アルバム『 ZIGGY STARDUST 』からの一曲【 STARMAN 】だったから。《 There’s a Starman waiting in the sky  He’d like to come and meet us 》これなら1972年に出た頃よく聴いていた。そして偶然にも、つい先日デビッド・ボウイは亡くなったばかりだったので、思い出したら急に切なくなってきた。昔このデヴィッド・ボウイのLPレコードを買ったのは、ボブ・ディランに影響されたイギリスの新人という日本での評があったからでした。聴いたらぜんぜん違っていたけれど、この「スターマン」という一曲はバカバカしいところが大好きなのでした。このあとからのデヴィッド・ボウイは、グラムロックで化粧も濃くなり、あまり好きになれなかったな。
この映画は〈サバイバル〉が主題になっているわけで、期待にたがわず ‘78年 Gloria Gaynor の大ヒット曲、かの【 I will Survival 】を用いてくれたところでも笑った。邦題は「恋のサバイバル」《 とんでもないわ! 私は死なない。私がほんとの恋を知っている限り、私は生き続けるのよ。》火星で聴く音楽(CD)が、あいにくダサい七十年代ポップスしかなかった、と主役マット・デイモンに言わせておきながら、ストーリ展開とぴったりの様々な歌曲がかぶさってコメディとなる。リドリー・スコット監督の男っぽいユーモアが効いている。見終わったら、俄然前向きになり愉快な気分になってしまう映画。これは近ごろ珍しい。