秋の読書ノート

osamuharada2015-11-05

絶好の秋日和。朝は、散歩がてら摘んできた草花を竹籠にいけて、煎茶を喫す。このところ午後はもっぱら読書を楽しんでいます。相変らずの乱読ですが、いま読んでいた本をちょっと紹介してみます(が、あまりに個人趣味すぎてつまらないかも)。
まず今秋の読書は、ヤツガレの古代史研究がテーマです。奈良時代前の【飛鳥】と、古代朝鮮「百済(くだら)」、それに「秦(はた)氏」の関係を調べています。それと関連して「飛鳥」の前身の国は、中央構造線より南側の吉野、熊野、東西の牟婁(むろ)郡、と広範囲にわたる国が、【扶桑國】(中国の『梁書倭人伝にのみ書かれている)ではないだろうか?という仮説に挑んでいるわけです。それに「伊勢神宮」のある伊勢は『梁書』にいう【女國】ではないのかとも考える。そして水銀を扱う秦氏と「丹生都比売(にゅうつひめ)神社」の歴史。こんな感じで、また歴史探偵ごっこにハマっているところです。
それで最近、追加購入して読んでいたのは、古本:『曽我三代と三つの飛鳥』(新泉社)『飛鳥・高松塚古墳』(学生社)。新刊:『奈良県の歴史散歩』(山川出版)『奈良歴史地図帖』(小学館)、それに近畿全域の地図などなど。
何しろこの【扶桑国】たるや、兵隊を持たず侵略戦争をしない国「無兵甲、不攻戦」と書かれているところが凄いのですよ。戦乱の五世紀、古墳時代に平和主義をつらぬいた国があった。そしてすぐお隣なりの伊勢が【女国】、ぼくの仮説では、天照大神卑弥呼、沖縄アマミキヨが宗教的に関連してくる。海洋系縄文人(自説)が黒潮に沿って、時代を経てつくったと思われる古代の国々に魅了され続けています。もすこし纏まりがついたら、またここにノートしますね(古代史ファンのかた向きですが)。
〈美術〉と〈歴史モノ〉がお好きなかたには、彫刻家・高村光雲の『 幕末維新回顧談 』(岩波文庫)をオススメしちゃいたい。江戸時代の仏師(職人)から明治の彫刻家(芸術家)になった人。座談の名手であったという光雲さんの口語体が親しみやすい。客観的でリアルな活写に、思わずタイムスリップしてしまった。さすが彫刻家の眼光や鋭し。この江戸から明治へ移り変わる頃は、いつも伊藤博文を中心課題として眺めるクセがついていたので、ぼくには血なまぐさい暗黒の時代認識だった。それが高村光雲さんのおかげで、この時代にも明るい光が射して見えてきた。古典落語で描かれたような、市井人の息吹を感じさせる。息子の彫刻家・高村光太郎の〈近代的自我〉には辟易としていたのだが、職人かたぎのオヤジさんにはスカッとさせられた。文学より、事実のほうが面白いこともある。
上の写真は、マイ図書室と茶室を兼ねた部屋。携帯の電波は入らず、Wi-Fiも届かない。何もせず静寂と日向ぼっこも楽しめる。小鳥たちとリスの鳴き声が、ときどき聴こえてくる。http://osamuharada.tumblr.com/

幕末維新懐古談 (岩波文庫)

幕末維新懐古談 (岩波文庫)