今日のデザインノート

osamuharada2015-07-30

東京のオリンピック運動会に興味はまったくないけれど、こんどのエンブレムデザイン盗作疑惑には、同業者としてちょっとだけ気にかかる。グラフィックデザイン著作権だの商標権なんかの争いごとは、ぼくのごときキャラクター屋にしても、ごく身近な問題ではあるわけね。こっちのほうはスケールが小さすぎて比較にならないが、法律的には同じ問題ってことになるでしょうね。
パクリかどうかは著作権の問題になるのだけれど、そもそもこの判定はすごく難しい。それに両者とも突出した個性のようなものがなくて、どっちも平凡でありふれたデザイン(とぼくには見える)だから余計に難しくなるかもね。文字のフォント(書体)だって、両者ともに同じ有りものデザインを使っているようだしね。ただしこの際、好きか嫌いかは問題にはならないのですよ。良きも悪しきも、芸術性(あるとすれば)も関係なし。似てるか似てないかだけのこと。
しかしあのベルギーの劇場がエンブレムの商標権を登記して持っていたら大問題になるでしょう。五輪側が何か物をつくって売ろうなどとするときには、ベルギー劇場側と訴訟が起るかもしれませんね。日本でも、よく不正競争防止法ってので争われている案件。あのデザインで、東京五輪Tシャツとか、五輪バイクとか、五輪饅頭かなんかの商品をつくって売ったとしたら、商法上は不正にあたる。ただ抜け道は、非売品のポスターだったらOKかもね。そもそも宣伝用のポスターデザインには著作権も何もはじめから無いからね。
いずれにしてもこの問題、勝っても負けてもダメージだけは残ることになりそうですね。まず例の生ガキ競技場デザイン問題で失点、次いでエンブレムデザイン盗作問題でも失点、これじゃデザイン界の金メダルは遠のいていきそうだな。どうでもいいけど、こんなことに税金を無駄に使われているのかと思うと腹立たしい。オリンピック好きな東京人と、電通&博報堂からだけ税金とれ!なんてね。