リビングダイニング

osamuharada2015-06-04

梅雨に入ると、どうも外出がめんどうになってくる。島では雨よりも霧が深くなり、視界10mなんて日がたまにあるから車の運転もできない。大自然の中にアトリエがあるので、都会よりずっと過ごしやすい気候だけはありがたい。家中にあれば、ひんやりとして涼しい。それでついつい「リビングダイニング」(和製英語)で過ごす時間が増えてしまう。いうなれば「引きこもり」かな。
島のアトリエでは、はじめ台所のすぐ横に食卓を置き「ダイニングキッチン」(これも和製英語)という感じで、どうにも落ちつかなかった。そこで十五年ほど前に、この写真の小部屋を台所の外の中庭にせりだして、LIVING(居間)DINNING(食堂)を増設。これで殺風景なアトリエにもささやかながら居心地のよいLDを持つことができました。
食事をしたり、オヤツを食べたり、そのあとしばしゴロンとそのまま横になってくつろげる部屋っていいもんですね。これぞ日本的生活様式というものでしょう。いつもここで食事をするので、身のまわりに好きな食器類を置いてあります。谷道和博さんの吹きガラスに、舩木伸児さんのスリップウェアー、古いスペイン陶器など。食器は飾るのが目的ではなく、ちゃんと食べるため常に使っていますよ。すなわちこれが「ダイニング」のつもり。対面の壁には、川端実北園克衛の作品などをかけてあり、赤の革張りソファがしつらえてある。つまりこっち側はちょっとした小さな「リビング」というわけ。自分の好きなものに囲まれて、また窓の外に目をやれば自然の緑に囲まれている。これだけで満足です。このLDというか小屋はヤツガレ自身で設計をして、何でもできちゃう島の左官屋さんに頼みこみ、たった一人で造ってもらいました。壁と天井は本漆喰で、西欧風に木のコテでテクスチャーを施してあります。屋根にはスペイン瓦がのっています。という入梅どきの、またどふでもよゐ話題でした。
      梅 雨 冷 え の サ ラ ダ の ト マ ト 赤 き か な    万太郎
部屋の拡大写真→http://osamuharada.tumblr.com/