忠犬愛國

osamuharada2015-03-19

新たに忠犬ハチ公銅像が建ったというニュースには驚いた。秋田犬のハチ公が、急死した主人の東大教授を渋谷駅で毎日待ちつづけた、という美談は誰でも知っているが、こんどはその主人のいた東京大学構内に、ハチ公と教授のツーショット像が出現。寄付金総額1000万円。ハチ公死して八十年、教授は九十周忌になるという。しかしなんでいまごろ「忠犬」なのよ。
高田文夫さんのレギュラーAM放送番組を聴いていたら、そのニュースにちなんでこんなことをしゃべっていた。戦前から渋谷駅近くに住んでいた高田家のオフクロさんは、子供の頃になんとあのハチ公に餌をやっていたのだそうだ。まずそれにビックリ。ところがハチは主人の死んだことなどまったく理解できず、駅前の屋台や焼鳥屋などでくれる食べもの目当てに、毎日夕暮れどきに来ていただけなのよという。みもふたもないお話。オフクロさんいわく、あれはただの「ばかハチ」。それを当時のマスコミが、人間も主君に忠実な犬に見習えとばかり、「忠君愛國」のプロパガンダに利用した。お国のために忠義をつくせというわけね。「捏造だよ、捏造ッ!」と高田文夫さん。つまりは全体主義。それで銅像がひとつ建っちゃう。
生前のハチ公自身はワケわからずながら、いきなり時代のヒーローになって大切にされたんだから、それだけは良かったなとだけ思いたい。しかしまたぞろAB独裁政権の大政翼賛ゴッコに、「ばかハチ」まで引っ張り出すとは、なんとおろかしき世の中だろう。時あたかも空前の猫ブームで、いまさら忠犬なんてものを持ち出したところで、流行らないよね。
忠犬ならぬこの仔犬の写真は、むかしポラロイドで撮った築地のコロちゃんです。雑種は可愛いな。ダンボールにコラージュ犬小屋が素敵でしょ。猫か犬のどっちが好きかなんて、実に愚問だとは思いませんか。
追記: 2006年頃に犬ブームもありましたね。この時もAB政権。→[id:osamuharada:20070111]