SF映画 INTERSTELLAR

osamuharada2014-12-10

SF(空想科学)映画の話題。去年の暮れに観たSFというよりはCG映画の『ゼロ・グラビティ』。アカデミー賞は沢山もらったみたいだが、「映画」としては物語がアニメかゲーム並みの薄っぺらさでがっかり。俳優の演技力もお話にならない。小中学生向けというべきか。もはや大人が観るに耐えるSF映画は、誰もつくれなくなっちゃったのかなァと失望していた。
今年の新作SF映画インターステラー』も、そんなワケで半信半疑のまま観に出かけた。なんでもこの映画、CGをほとんど使わず、スタンリー・キューブリックのように巨大模型や宇宙の実写映像を多用している、と聞いてちょっと興味があったのです。残念ながら沖縄にはIMAX劇場がないので那覇シネコンへ。
あんまり期待せずに観た『インターステラー』。それが見終わって出てきたときには、あまりの感動で打ち震えたままでした。上映三時間、それこそワームホールを抜け出てアッという間に終った。「映画」らしい映像美術は、CG画像よりもリアルに感じられた。なにより俳優たちが、素晴らしい演技力でこのドラマに真実味を与えている。主演のマシュー・マコノヒーは、いままでの癖ある役柄と違って、新しい時代の「古きよきアメリカンヒーロー」を見事に演じきっていた。ハリウッド映画の伝統「男の芝居」が愉しめる。父と子のドラマとしても胸をうつ。人工的な老けメークを嫌って、老年期の娘役を、リアルに年老いた名女優エレン・バースティン(1932年生まれ)にふった。かのNYアクターズスタジオの演技メソッドを垣間みることができて眼福。このシークエンスでは、泣くまいと思えど涙腺がゆるむ、本格の演技はやっぱり違うもんですね。
英国俳優マイケル・ケイン(1933年生まれ)の台詞は、英国詩人ディラン・トーマスの詩「 Do not go gentle into that good night 」から引用したそうで「 穏やかな夜に身を任せるな 老いても怒りを燃やせ 終わりゆく日に 」。この脚本にもシビレましたね。絶望の果てにも、なお人間には進化をうながす遺伝子が存在するということか…。あんまり話しちゃうとネタバレだからおしまいにしますが、カメオ出演にもナイスな俳優が出てくるので是非お楽しみに。
INTERSTELLARとは「星と星の間」。上の写真はパンフレットから借用。アポロから撮った実写かな? 下に MANKIND WAS BORN ON EARTH. IT WAS NEVER MEANT TO DIE HERE. と書いてあった。