出光美術館の『鉄斎』展

osamuharada2014-07-17

東京・出光美術館で開催中の『鉄斎』展(8月3日まで)。このごろは展覧会が素晴らしいと、たった一日だけでは満足できず、まる二日間通ってしまうクセがついてしまったようだ。富岡鉄斎はなんど見ても見飽きないどころか、いつも新鮮に感じてしまう。とくに晩年八十歳代の作品群は、どなたかがカタログに書かれていたが、【神韻】という言葉がやはりピッタリしていると思う。そして月並みな言い方かもしれないけれど、日本が生んだ【天才】としか他に言いようがない。万物肯定的な気分満点で、島のアトリエに戻ってきました。でもまたすぐに観たくなってくるので困る。
今回の展示は、すべて出光美術館のコレクション。展示方法も素晴らしく(これは実際に見ていただくしかないが)、また初心者でもよくわかるように平易な言葉で、ていねいに解説もしてある。〈煎茶〉にまつわる作品群の前には、《 清風への想い 》として、こう説明してある。《 俗世から離れて自娯適意(じごてきい)の自由な人生を歩む文人の生き方に憧れた鉄斎は、本格的に学問の道を究めんと進みました。その理想を追う中で、「清風」すなわち煎茶・喫茶の世界に関心を抱きはじめました。もちろん俗世からの離脱といっても容易なことではなく、居ながらにして精神のみを解き放つため、喫茶のこころに心酔してゆきました。》
出光美術館内にあるショップ・オリジナルの、「墨竹図」扇子も買っちゃいました(この写真)。実物はこの三倍くらいの扇面で軸になっている。「能屈能伸」(能く屈し、能く伸ぶ。)という讃。これにもわかりやすい解説付きで、《 四君子(蘭・竹・菊・梅)は文人が好んで描いた画題。中でも竹は、青々として真っすぐ伸びる特性から、しばしば君子の高潔さを象徴するものとされてきた。しかし鉄斎は、竹の柔軟でしなやかな特性の方に注目し、屈曲しながらも風を受け流す自在な姿をよしとしたようだ。》とあります。今年の夏は、この扇子で涼やかに煎茶(清風)を喫することができそうです。
出光美術館『鉄斎』展→http://www.idemitsu.co.jp/museum/honkan/exhibition/present/index.html