台湾カフェ事情

osamuharada2014-03-12

台湾は一つの島には違いないけれど、九州よりちょっと小さくて、四国のちょうど2倍の面積をもつ国ですね。もともとは古代から台湾民族が平和に暮らしていた島を乗っ取って、中国と日本が入れ替わりに植民地支配した歴史がある。沖縄の歴史にもよく似ている。その台湾の首都である台北市は、古い日中のレトロ感がいまも濃厚に残っている、大都会です。
台北を「世界ふれあい街歩き」のつもりで歩いてみると、面白すぎて、一日平均2万歩(万歩計持参)も、気がつくと毎日歩いていました。それでつくづく台北が活気あふれる大都会だと実感できたわけね。しかも台北はタクシーが安いので(初乗り200円くらい)、広い街のあちこちへ飛び飛びに移動できる。どこも千円かからないで行けちゃう。
そして歩き疲れると、ところどころに今風カフェが見つかるのが嬉しい。様々なスタイルの若者向けカフェが点在している。日本式のほっこり系カフェもあれば、オープンテラスの西欧風カフェもあり、小物雑貨&カフェもある。オーガニック・カフェや珈琲豆焙煎カフェ、本屋&カフェもある。猫が店内にいる猫カフェまである(ここは休憩するつもりがつい長居した)。これらが茶藝館とはまた別にあるわけですから、お茶する人にはとても便利な街というわけです。
カフェブームは日本の真似かもしれないけれど、客層や店員の若い人たちの雰囲気が違っているのに気がついた。女のコたちは、ほとんど清潔感あるロングヘアばかりで、スリムな体型が多い(足は長いし)。日本のコギャル風やブランド嬢、ほっこり系は皆無。男のコたちも、こざっぱりとして物腰やわらかく、着飾ってチャラチャラしたようなのはいない。街ゆく若者もだいたい同じように健康的で素朴な感じ、どこのカフェにいても、静かで落ち着けるのはそのせいかな。
学生街といった風情の辺りで、〈反核〉と書いた幕をかかげてあるカフェに入ってみた(写真)。洒落たオーガニック・カフェの奥が書店になっている『伊聖詩書房』。有機中国茶もあるけれど、カプチーノをたのんだ。前庭の緑陰が、広いガラス窓を透過して目がやすまる。若い店員の男女も、隣りのテーブルでパソコンを見ている若者も、なごやかで感じがいい。気取ったところがすこしもない。奥の部屋の書棚を眺めてみると、日本の中国語翻訳本も多く、ハルキムラカミ本も百田ゼロ本まである。なかに並んでフクシマ関連の本がちゃんと揃えてあるのには驚いた。静かに読書する若者たちもいて、なんと知的なカフェだろうかと感心してしまった。日本の書店&カフェで、反核を訴えているような店はあるかしらね。この写真の〈反核〉幕には、「不要再有下一個福島」とあり、NO NUKES  No more Fukushima とある。台湾通の人に聞いたら、いま「お洒落な知識人の常識は反原発」でキマリなのだそうだ。オシャレのことしか頭にない人は、お洒落ではない。日本の一見お洒落風な書店&カフェとはかけ離れているなと思った。
ついこの3月8日、台湾各地で反核デモがあり、計10万人もの人々が参加したそうだ(台湾の人口は日本の5分の1)。台湾の3つの原発廃炉や、第4原発の建設中止を訴えた。フクシマがすべてのきっかけになっている。台北市総督府前デモには、原住民のタオ族も参加していたという。真摯な〈反核〉の垂れ幕は、街のあちこちで目にした。