雲のゆくへ

osamuharada2013-12-29

羽田を飛びたって、雲海の上にでたら、汚いグレーの空気層がさらにその上に横たわっていた。あれはPM2.5だったのだろうか。雲の切れ目から見下ろすと、地上はグレーのスープに浸っているかのようにどんよりと霞んでいた。目に見えない人工放射性物質だけでなく、はっきり目に見える大気汚染も加わって、地球はますます汚されてゆく…。
新年特大号『週刊文春』を、例によって小林信彦さんコラムのところだけ立ち読みした。今年の秋頃から(古い映画の話題ばかりで)時事的な批評が聞かれなくなっていた。まさかタカ派編集者からの圧力でもあったのかと心配していたのですが、さすがに年末は本音で、今年の時事批評を書かれていました。〈 二〇一三年ほど悪い年はなかったと思う。 戦後だけを考えても、これほど辛い年はなかった。空襲とか飢えがなくても、人間はこんな目にあわされるのである。〉
そして安倍内閣批判。①特定秘密保護法は、戦前の治安維持法と同じではないのか。石破自民党幹事長の放言〈デモはテロ〉の愚かしさ。②コントロールできない福島第一原発の高濃度放射能汚染水。〈もんじゅ〉と再処理工場の推進。③大企業は減税、庶民は増税。東電救済のための電気料金値上げ。防衛予算拡大。などなど、アベの放った〈 三本の毒矢 〉について。 日本は民主主義国家をやめて北朝鮮化しつつあるが〈 この内閣でホンモノになった。安倍晋三という人がこわいのは、支持率だけで動くところだ 〉と。 問題なのは、こんな愚蒙の政治屋を支持するヤカラがいることなのでしょうね。
明治維新の代から血縁のみで続く、アべ&アソー「薩長政権」を支持する現代人がいる。どこにでもいる寄らば大樹の陰の「事大主義者」たちだ。彼らはヒトではなくカネを支持しているにすぎない。河竹黙阿弥が明治12年に書いた芝居『人間萬事金の世の中』を歌舞伎座で再演してみてはどうだろうか。今もむかしも愚民の変わらないことに気づくかも。
今年の大晦日、大政翼賛 NHK紅白歌合戦」は見ないで、十年前の「紅白」以来マイブームの長山洋子、その名曲【じょんから女節 】を聴くつもり。津軽の古い【 民謡 】から、近代【 演歌 】へとしっかり同じ遺伝子が流れている。きわめて「縄文的」。三番目の歌詞が特にいまヤツガレの気分です。〈 鉛色した空の色 春はわたしにゃ遠すぎる 太棹たたけば 糸さえ切れる 〉洋子ちゃんの熱演で今年もスカッと溜飲を下げることにしよう。