リンカーンセンター

osamuharada2013-06-24

リンカーンセンターのニューヨークフィルをTさんに誘っていただき、思いがけず好きなハイドンのピアノ協奏曲を聴くことができた。EMANUEL AXさん(1949年生まれのユダヤ人)というピアニスト。古典らしい泰然自若としたハイドンを期待していたが、華麗で都会的なピアノ演奏だった。ちょっと間が早いように感じたのは、現代ニューヨークの時間感覚に合わせているのかな、とこちらが素人料簡で考えるからだろう。第三楽章のロンド、泰西の輪舞というよりは、セントラルパークで遊ぶ子供たちというイメージが浮かんで楽しかった。ニューヨークの街の気分に浸りすぎていたせいかもしれない。
次は、作曲家Christopher ROUSE(1949年生まれ)のシンフォニーNo.3という現代曲。これまたこちらが素人すぎて、ちょっとついてゆけなかった。戦後の曲なので、ジャクソン・ポロックの抽象のようなものかなと思ったが、途中から目をつぶるとディズニーアニメの映像が目に浮かび具象になりすぎてなんだか愉快になってきた。ご老人客多く、面白がってはいけないような謹厳な雰囲気もあったが。。
この日、 NYフィルの目玉はワーグナーの、お馴染み『ニーベルングの指環』。大迫力の熱演で、Tさんのお友達オーボエ奏者のIkumaさんは、次の日のニューヨーク・タイムスで絶賛されていた。確かに彼のイングリッシュ・ホルンのソロは聞きごたえがあって、勇壮ながらも悲愁がある。全体がそこで引き締まった感じがしたのは、素人ながらもよくわかった。こういうのは生で聴かないと体験できないものですね。
ワーグナーに白人中心の老人客は大喝采。しかしこの「ワルキューレ」を聴くと、コッポラの映画『地獄の黙示録』のベトナム空爆シーンがすぐ出てきて辛くなっちゃうから、素人は困ったもんだなと思った。ハネた後の夜半、リンカーンセンター界隈のバーやレストランは、興奮冷めやらぬお客さんでいっぱいになる。なかなか眠ろうとはしない街ニューヨーク。