ストランド書店

osamuharada2013-06-20

ブロードウェイ12丁目、むかしの【ストランド書店】は巨大な倉庫のような感じで、殺風景な安売りの古本屋だった。それが今ではシャレた超大型書店という感じになっている。かつての、ほこりを被って積み上げられた古本古雑誌の山の中から、宝物を見つけるという楽しみはもうない。 店内に入ると、いきなり書店グッズなどが売られていて、Tシャツやトートバッグ、おみやげ(いやげもの多し)でいっぱいコーナーがあるのには、ちょっと予想外でビックリさせられた。日本で流行している小ギレイな古本屋+カフェというのも恥ずかしいが、おみやげコーナーというのも変でしょ。ともかくも古本屋には古色蒼然たるムードだけは失わないでいて欲しかったのにね。
それでも、〈ふるさとへ廻る六部は〉なんとやらで来てみたニューヨークの【ストランド書店】。せっかくだから、古いCARTOON(一コマ漫画)でもないかなと探してもらったが、単行本はなく、この『ニューヨーカー』誌のアルバム版に、好きな五十年代のヴィンテージ Chon Day 作品がたくさん出ていた。かの Saul Steinberg も満載なので、これでたったの6ドルとは安すぎる。
Chon Day に続いて、『ぼくの美術帖』をお読みくださった方にしか、この喜びいかほどか、お解りいただけないでしょうけれど、『 NANCY IS HAPPY 』( FANTAGRAPHICS BOOKS 刊)という新刊本が昨年出版されていました。1943〜1945年までの作品集。すべてモノクロームの新聞連載四コマ漫画。ぼくがナンシーの原画を買った、とむかし拙著に書いていたのと同じ漫画シリーズなのでした。これは嬉しかったし、やはりとても懐かしい。どうせアマゾンで買えちゃう新刊本だけれど、【ストランド書店】の思い出とともに、一冊買っておきましたよ。
ナンシーのあった二階の児童本コーナーでは、ついでに孫へのみやげとアメリカ産メープル材で作られた子供オモチャも買った。ストランドのトラックと、ストランド書店の模型(看板下に NEW・USED・RAREと書いてある)、それにイエローキャブ。こうして写真に撮ってみると、トシガイもなく惜しくなってきたので、孫にはやらずこれもヤツガレが秘蔵することにしよう。