タランティーノ映画

osamuharada2013-03-31

思い返せばクエンティン・タランティーノ監督の映画『レザボア・ドッグス』は、早くも二十年のむかしとなりぬ、なのですよね。あのスタイリッシュで斬新なアクション映画の出現で、90年代のハリウッド映画はやっと面白くなった。続く二本目’94年『パルプ・フィクション』で、この若き(三十代前半)タランティーノの才能は全開したのでした。それ以降、サブカルというよりは、オタク度の高い娯楽作品の大家になった、といまさら説明することもないですね。
アクション映画専門の後輩・飯田淳ちゃんのおすすめで、八本目の新作、西部劇『ジャンゴ繋がれざる者』を観てきましたよ。もはやサブカルは通り越して、堂々たる勧善懲悪で、フツーの娯楽活劇になっていた。ちょっとした隠喩やパロディもあるが、それも観ている時だけが最高に楽しくて、笑いながら映画館を出た頃にはすっかり忘れちゃう。しかし爽快な気分だけはいつまでも尾を引く。娯楽アクション映画はそこがいいのよね。無聊をかこつ日常のなかで、さらにその醍醐味は増すというものでしょ。いうなれば〈憂さ晴らし〉。大政翼賛会な時代にあればこそ、閑人の観る映画なるべし。
劇場用パンフレットを買ってはみたが、オタクっぽい読み物は、町山なにがしの重箱のすみを突っつくよな言説がちょいとだけ面白くて、後はただのシノプシスにすぎず買うこともなかったかな。そんなことより、ハリウッド俳優としては大スターのレオナルド・ディカプリオの臭い演技が、映画をかえって小振りにしちゃったのは、前作’09年『イングロリアス・バスターズ』の大根役者ブラピと同じく「金返せ!」もんざんしょ。我らがタランティーノ映画に、大人気スターなんか出さなくたっていいじゃないか、とは思いませんか。替わりにアカデミー賞助演男優賞を二度ももらった、クリストフ・ヴァルツのような名役者を世に送りだすところが、タランティーノ監督の優れたところじゃないかしらね。
変わり者のタランティーノは、「史上最低の映画監督」といわれたエド・ウッドのファンだそうです。余談ですが、そのエド・ウッド監督を主人公にした、ティム・バートン監督作品’94年『エド・ウッド』は、またヤツガレの大好きな映画のひとつです。この映画で、エド・ウッド役のジョニー・デップがこれまた最高の芝居をしていて、何よりもこの主役は彼のベストワンだと思うな。