築地名物 あんこクロワッサン

osamuharada2012-11-25

東京の地元、築地場外市場が、ある理由でガゼン面白くなってきた。なにしろ、もう太平洋岸、関東以北の魚介は口に入れないぞとガンコに決めたので、全国から海産物が集合する築地の市場は、好きなものだけを産地で選ぶことができちゃうから便利なのだ。こんなことを書くと風評被害とドヤされるのがおちだろうが、個人的な食い物の好き嫌い話です。トシヨリが独り言、原発推進派の人は聞き流しといてちょうだいね。
例えば長崎県産の魚貝類、甲殻類だけを専門に扱う大店舗が気に入っている。ここ一軒だけでも十分楽しめるのだが、最近その並びには、山口県日本海側と瀬戸内海産のものを扱う専門店ができたのは嬉しい。またその横には、伊豆諸島からの海産物専門店があり、特に小笠原産の魚がいい。それに加えて従兄弟の魚屋「伊勢友」では、頼んでおくと九州は対馬産のアジの干物など、ヤツガレの好きなものを用意しておいてくれるので助かる。
しらす屋」という全国各地からシラス(白子)ばかり集めた店も素晴らしい。ときどき店先で、シラスの箱と並んだダンボール箱のなかに、飼い犬(黒の豆芝)がピッタリ収まって寝ている姿が関係ないけどたまらなく可愛い。シラスをかけたのり茶漬けは最高だが、海苔屋は、どこの店でも有明海産が最上級ですよ。昆布ならパレットクラブのおとなり「吹田商店」の羅臼昆布がおすすめ。これで東京に所用で戻っている間は、なんとかなる。
ちなみに野菜果物はむかしからBIO専門だったので、これは新橋にある鳥取県の物産店で買う。年中無休で、新鮮な有機栽培野菜が毎日送られてくるのは見事だ。大山山麓の乳製品も旨いし、鳥取といえば、ぼくには毎日食べている〈らっきょう〉がある。肉は、銀座の「吉澤」で松阪か近江牛を買う。とまぁだいたいこんな塩梅であります。食料調達はいいけれど、東京での外食が少なくなったのは残念だ。江戸前すし屋には、まだ行っていない。
煎茶と茶ウケについては、近頃、築地で買い物ついでに買って帰る「ル・パン」というパン屋の〈あんこクロワッサン〉(写真)なるものにハマってしまった。バターは控えめで、パリッとした歯ごたえのあるクロワッサン。北海道産のあんこは甘さを押さえて良し。焦げた芥子の実がかかっていて香ばしい。これは焼きたてが身上なので、すぐに築地パレットクラブへ寄って暖かいうちに食べてしまう。煎茶は、あれこれ試した結果、銀座「茶の葉」で購入の、熊本県上益城郡産の「釜入り茶(吉無田)」が、ワレながら絶妙な組み合わせだと思った。この煎茶は今はもう製造していない「海久保(静岡県赤石産)」によく似たつくりで懐かしい。などと煎茶と茶ウケのことを自慢したくなり、パレットクラブの先生がたや、スタッフに供したところたいへんに評判が良かった。「ル・パン」は、波除神社の正面通りにあって、場外市場の他の店舗同様、まったく飾りっけがない小店です。中でパンを焼く人も店員も、若い男女ばかりでとても元気がいい。〈あんこクロワッサン〉という何のてらいもない名前も好きです。場外市場は午前中にいかないとお仕舞いなので、ご注意。