ポール・マッカートニーJAZZを唄う

osamuharada2012-06-04

70歳になったポール・マッカートニーの、スタンダードジャズを唄う新しいアルバム KISSES ON THE BOTTOM がいいな。バックはあのダイアナ・クラールのピアノと彼女のバンド。ハリウッドの CAPITOL STUDIO で録音。使ったマイクは、ナット・キング・コールが使用していたものだそうだ。それだけでも何か嬉しくなるよね。おなじみ IT’S ONLY A PAPER MOON は、インク・スポッツのような古めかしい歌い出しで、これがポールらしくて好きだな。オリジナルの新作も二曲あり、そのひとつ MY VALENTINE のビデオクリップを見てみたら、なんとナタリー・ポートマンジョニー・デップが出演しているではないか。さすがポール。
ビートルズ時代を思い出すと、ポールの唄もので特に好きだったのは、 PENNY LANE と THE LONG AND WINDING ROAD ってことになるかな、ぼくの場合はね。 昔むかし、映画『ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!』(A HARD DAY’S NIGHTのことね)が封切られたのは1964年、高3の時だった。学校帰りの渋谷で見て、曲もスタイルも新鮮で、新しい時代が到来したぞという感じがあって、胸騒ぎがした。でも女のコたちがあまりに騒ぐので、一緒になって浮かれるというようなことはなかったな。その頃のイギリス映画といえば、監督トニー・リチャードソンが大好きで、『土曜の夜と日曜の朝』や『長距離ランナーの孤独』なんかにかなりカブれていた頃だから、リチャード・レスター監督はちょっと比較にならなかった(後年の『ロビンとマリアン』は大好きだが)。でもこのヤァヤァヤァ(凄い邦題だったね)という映画にすっかりハマったのは、ポール・マッカートニーが中でも一番気にいったからでした。
1969年初夏のころ、ニューヨークのアパートで、ラジオから毎日のように流れてきたビートルズの GET BACK を聴いては、なんとなくその時代の気分に浸って、再びビートルズファンに戻ってしまった。もう一回やり直そうぜ、というような意味でポールが書いた曲だから、これで解散するとは思わなかったけどね。次の年にドキュメンタリー映画になった『レット・イット・ビー』を見て、あのアップル本社屋上で演奏されたGET BACK のカッコいいこと。何で解散なんかしなきゃいけないのかよ、とヨーコ・オノには腹が立ったどうでもよい記憶あり。そしてまた、この歳になって聴くポール・マッカートニーの唄うジャズも、なんだか居心地がよくてしかも新鮮だ。

Kisses on the Bottom

Kisses on the Bottom

  • アーティスト: Paul McCartney,Frank Haywood,Geoff Clarkson,Joseph Young,Mort Dixon,Billy Rose,Billy Hill,Harold Spina,Ray Henderson,Fred E. Ahlert,E.Y."Yip" Harburg,Dick Robertson,Frank Loesser,Harold Arlen,Irving Berlin,Johnny Burke,Johnny Mercer,Johnny Mandel,Eddie Karam,Alan Broadbent,Andy Stein,Anthony Wilson,Bucky Pizzarelli,Christian McBride,Diana Krall,Chuck Berghoffer,John Chiodini,John Clayton,Robert Hurst,Tamir Hendelman,Vinnie Colaiuta,Eric Clapton,Jeff Hamilton,John Pizzarelli,Ira Nepus,Karriem Riggins,Tommy LiPuma
  • 出版社/メーカー: Hear Music
  • 発売日: 2012/02/07
  • メディア: CD
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