イラストの学校

osamuharada2012-05-27

東京で、独自のイラスト専門の学校(カルチャースクールとは違う)を始めて、十六年がたちました。去年は、天災と人災のせいで一年間のお休み。さて大混乱(まだ終らないが)の年月が過ぎてみて、今年は生徒さんが以前のように集まるのだろうか?と思っていたが、去年からの繰り越しもあり、あっという間に定員オーバーして、キャンセル待ちの人が続出してしまった。というようなことで、今年は6月から再スタート。若い人たちにとって、イラストレーターはまだ魅力がある職業なのかもしれない。
イラストの黄金時代といわれていたのは、’70、’80年代の大昔のことだから、現在と比較することはできないが、イラストレーターの人数だけは、往時よりも増え続けている。もっとも、ILLUSTRATIONを省略して「イラスト」という呼称が一般的になったのが1970年代からで、その時分からの生き残りイラストレーター(ヤツガレもそのハシクレ)がまだ現役でいるのだから、なかなか減らないわけだ。この仕事に定年は無いのです。 パレットクラブスクールにて、講師をつとめていただいているイラストレーターの方々の年代幅も、上は七十歳代から三十歳代まで、と各世代が網羅されている。
京都でぼくが朋輩と始めたイラストスクールのほうは、三十年間続き、去年で閉校になった。最初はほんの思いつきで、イラストを専門に教える学校なんて無いから、試しに作ってみる?という感じで始まった。あれから世の中は高度経済成長(実はバブル)に向かってゆき、元気だけはよい時代でもあった。しかしイラストの仕事は、なかなか関西では発展しにくい。仕事先である出版社や広告代理店などが、ほとんど東京に集中して存在しているという実情がある。もと京都の生徒さんで、後にプロになった人たちは、大半が東京へ売り込みに行った。
ヤツガレが四十年以上もイラスト稼業をやってきて、最もいいなァと思ったことは、誰にも束縛されず、どこの場所にいてもできちゃう仕事、という自由度の高さでした。一人で作業ができるので、きちんとした会社勤めが苦手な人(つまりワタシ)には向いている。今はネットで、どこからでも原画の送受信ができる。フリーランスも考え方次第では、気楽な稼業ということになる。
しかし作業場所を自由に選べる自由業者であるにもかかわらず、イラストレーター(特に地方出身の方々)の居住区は、意外や仕事先に近い場所が多い。つまり出版社・新聞社・広告会社がある東京からはあまり離れていないようです。多分、イラストレーターにとって、今でも東京がイラストの中心的文化圏だと思っているからなのではないでしょうか。東京で生活をして、東京の仲間と遊び、東京の空気に親しむことが、この仕事へのモチベーションになっているのかもしれませんね。さてこれからの、若き未来のイラストレーターたちは、現在の変わりゆく東京をどう感じ、どう考えてゆくのかな。
PALETTE CLUB SCHOOL  http://www.pale.tv/