海と魚

osamuharada2012-05-07

築地場外市場で、親の代から魚屋をやっている従兄弟から最近聞いた話。
このごろはね、北日本でとれた魚を店に置いたって、誰も買わなくなっちゃったんだよ、とのこと。基準値以下だの風評被害だの言ったって、結局お客さんはしっかり産地で選んじゃうから、とても商売なんかにャならない。食べて応援するなんて客はほとんどいない。こっちも産地偽装までして看板をけがしたくはない。売れないというのも、まァ当然といえば当然のことなんだけどね…、と従兄弟はガックリ肩を落とした。息子に魚屋を継がせるつもりはもうないという。
現在、全原発が停止中というのはとても喜ばしいことだが、東京電力福島第一原発からの放射能汚染水は、いまも地下から太平洋に漏れ出ているそうだ。去年三月四月だけで、推定1.5京ベクレルの放射性物質が海洋に流れ出たと公表されている(1京=1兆の1万倍)。セシウム137の Simulation map (3月12日〜4月6日) →http://cerea.enpc.fr/en/fukushima.html
福島県内のホットスポットを通過した雨水が阿武隈川に集まり、やがて仙台の海に流れてゆく。阿武隈川は一日で500億ベクレルのセシウムを海に押し流しているとも発表された。それでもたいしたことはない、安全なのだと御用学者先生は口裏を合わせてのたまうが、それは食物連鎖による内部被曝のことを完全に無視しての発言だったことがわかった。放射性物質が濃縮されている魚介類を、食べるか食べないかが問題なのだ。海水を毎日飲む人なんているわけないからね。それでも、なお安全だと信じている大人だけが、食べてくれればすむことなのでした。これで問題解決、誰も留めたりはしない。しかし未来ある子供たちに食べさせるにはリスクが大きすぎるでしょう。親はここが思案のしどころです。ヤツガレは大人といえども、当分は東京(江戸前)の寿司屋にいく気がしなくなりました。
     夏 浅 き 言 葉 か は し て わ か れ け り     万太郎