群青色U.S.A.

osamuharada2012-03-14

ウルトラマリンブルーが好きなので、「パリの群青色」(id:osamuharada:20110904)と、前に無駄話を書きました。さてその続き。ハワイでも街の群青色を探してはみたのですが、あまり目にしなかった。アメリカ的な青といえば、まず星条旗に使われる紺色か、米軍使用のネイビーブルーや渋いプルシアンブルーばかりで、神秘的な(とぼくは思っている)ウルトラマリンは少ないのでした。ハワイには似合わない色なのかもしれませんね。
街の景観に群青色が無ければ、アメリカ製の物のほうはどうなっているのか? とスーパーマーケットなどで、パッケージデザインも気にして見てはいたが、そこにもあんまり群青色は使われていない。そもそも今のアメリカにはMADE IN U.S.A.なるものがほとんど存在しちゃいないんだよね。で、次は習い性というか、つい画材屋と文房具屋に足が向いてしまう。無意識にもウルトラマリンブルーを探し求めていた。石油由来の樹脂が固着剤の「アクリル絵具」は、60年代にアメリカで生まれ、特にニューヨークでAbstract expressionismの画家たちによって発達してきたものだから、さすがにいろんな絵具メーカーがアメリカでは製造をしている。元祖のようなLIQUITEX社製は日本でも売ってはいるけれど、実は日本の工場で製造しているので、アメリカ製のものと比べるとどうも微妙に色感が劣っているようだ。ともかく日本ではその他の外国メーカーの物はあまり輸入されていないから、見つけるとつい群青色のアクリル絵具を買ってしまうわけです。
GOLDEN社のウルトラマリンは2種あって、明度にわずかな違いがある。両方ともにやや青味が勝っているが、透明度が高くて清らかなブルーです。http://www.goldenpaints.com/
M.GRAHAM & Co.のものは、ぼくの理想に近い、まさにこれぞ群青色だ!という感じ。 水で溶いて薄めても彩度がぜんぜん落ちないのは凄い、筆の滑りも心地よく全色欲しくなるメーカーだ。俄然アトリエにこもって抽象を描きたくなってきた。http://www.mgraham.com/
GRUMBACHER社製は、靴磨きのチューブのようで入れ物はダサいのだが、中身は素晴らしい群青色だったので嬉しくなってきた。やはりアクリル絵具の本場だけのことはある。さすがにMADE IN U.S.A.はひと味違うもんですね。http://www.grumbacherart.com/
Mead社製のノートブックは、すべてがもうベトナム中南米製になってしまったのかと思っていたら、唯一この速記用のSteno bookシリーズだけは、まだまだMADE IN U.S.A.で頑張っているのでした。しかもその中に典型的な群青色があったのです。これにはアメリカ的な明るさがあり、印刷インクの彩度の高さは、日本の色感が悪い印刷屋にはとうてい及ばない。モニター上で発光するだけのデジカメやネットでも再現不可能。リアルで美しいウルトラマリンブルーなのです。