古いアメリカ定番ノート

osamuharada2012-02-26

ワイ島のヒロには日系人が多く住んでいる。気さくな若者T君の案内で、町をブラブラ歩き回る途中、郊外にあるT君の自宅へも遊びに寄った。陽気で元気いっぱいなお母さんはスペイン移民と混血の日系三世。お父さんは山口から移民してきた日系の三世。リタイアしてからお父さんの趣味は、ニワトリを150羽ほどペット?として、広大な庭で飼っていること。ただし鶏は食べないし卵も取らないそうだ。家の中にいても、一日中ニワトリとヒヨコの鳴き声がうるさくてたまらないんですよ、と大学生の弟がボヤいていた。時々ヒヨコを食べちゃう困った犬と、何故か鳥だけは食べない猫と、ウサギまでいる、やたらに動物好きの一家のようだ。
両親や弟も、日本語はまったく話せない。四世になるT君は、コロラド大学を出て、中国、日本の学校へもいった勉強家だ。日本語は話せるけれど読み書きは得意ではないようだ。広いリビングの飾り棚に、T君のお父さんが小学生の時に使っていたノートブックがあった。以前ここに書いた、ぼくの好きなアメリカの定番ノート。→[id:osamuharada:20100315] つい嬉しくなって見せてもらった。現在五十代のお父さんが小学生の時だから、1960年代のノートでしょう。その時代にしては古めかしい書体のレタリングが使われている。戦前からのデザインをそのまま踏襲していたものと思われる。日本の定番大学ノートと同じことですね。この黒いマーブル模様のデザインが好きなんですよ、とお母さんに言ったら、ちょっと不思議な顔をしてからまた陽気に笑った。このノートブックは今でも当たり前のように使われているものだから、普通すぎてデザイン的にどうのこうのということはないのだろう。つまりヤツガレが、単なるモノ好きなのだということでした。
お父さんの子供時代のノートをなんで飾っているのかね、とT君に聞いてみたが、理由はよくわからないとのことだった。T君が子供の頃に好きでハマっていたというRichard Scarryの超大型絵本(約60cm×40cm)も、T君の知らないうちに飾ってあった。このスカーリー絵本『Biggest Word Book Ever!』は、未見だったが、いいなあコレも。ぼくの好きなミミズのローリーが表紙になっている。多分この棚はお母さんのセレクトした、大切なたいせつな家族のメモリアルコーナーなのだろう。家族友人の写真の額とともに飾られてある。古き良きアメリカがここにもあった。