映画「トゥルー・グリット」

osamuharada2011-11-10

去年のマイ・ベスト映画は、スウェーデンの【ミレニアム】三部作でした。さて今年の映画は、何と言ってもコーエン兄弟監督【トゥルー・グリット】ということになりそうです。現代のハリウッドで、ぼくの一番好きな男優がジェフ・ブリッジス。すでにコーエン兄弟の【ビッグ・リボウスキ】での当たり役「デュード」は、アメリカでは彼の代名詞になっている。(前に書きましたね→[id:osamuharada:20060121]) 去年は、【クレイジー・ハート】の飲んだくれカントリー歌手役で、アカデミー賞主演男優賞を獲得したばかり。その次の主演作で、しかも好きな西部劇とくれば、これはもうすぐに観なくては、とロードショー初日に駆けつけた。
この映画が大傑作だというのは、始まって5分ですぐにわかった。のっけに現れるフォート・スミスの町並みは、1878年の西部へと一気にタイムスリップをおこさせてくれる。完璧な映像美。これぞ映画!これぞ西部劇!という感じだね。ロジャー・ディーキンスのカメラが実に素晴らしい。衣装、美術、時代考証も、ハリウッド映画の厚みを感じさせるプロの仕事ぶり。つくづく映画とは、視覚的な総合芸術なのだなと思いました。
感動的なストーリーと役者の演技は、観てのお楽しみだから、物語をしゃべっちゃうような愚はおかしません。ただ特筆すべきは、西部劇の醍醐味である決闘のシークエンスです。西部劇でこれをハズしたら、画竜点睛を欠くようなものですが、ご心配なく。コーエン兄弟は、斬新な手法でこれを展開しちゃう。見事というほかはない。ディーキンスのカメラにまた感動する。美術が好きなかたは、できたら是非ブルーレイの大画面で観ましょうね。
昔の西部劇ファンには、特にガン・シーンが好きな人(ヤツガレもそのくち)がいたけれど、この映画ではそうゆうヤカラも脱帽することでしょう。扱われる銃は、1873年製のコルト銃や、レミントンM1875。西部劇になくてはならないライフルの、おなじみウィンチェスター‘73。テキサスレンジャー役のマット・デイモンが持つシャープス・カービン銃。映画ではよく見えなかった銃器も、DVDの特典映像で、銃専門スタッフのオタクな解説が面白い。上の写真は、敵討ちを決心するヒロインが持つ、父親の形見となったピストル。他の銃より古いところが泣かせる、1847年製コルト・ドラグーン。銃だけ見ていても、登場人物を思い出させてくれるな。いい映画というものは、すみずみのデティールにわたって、またいいもんですね。

トゥルー・グリット ブルーレイ&DVDセット [Blu-ray]

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