ジャズと彫刻と猫

osamuharada2011-07-21

マイヨールの彫刻を観たくて、マイヨール美術館へ行ってみたら、企画でミロの彫刻展をやっていた。ミロはどうでもよいので、常設展示室へ向かって通り過ぎようとしたら、一部屋からジャズが聞こえてきた。デューク・エリントンの、ピアノ・トリオでの演奏で、1966年のフィルム(モノクロ)を上映している。昼間の中庭のようなところで、老いたるミロが自らの彫刻作品に寄りかかって、エリントンのピアノを聴いていた。インプロビゼーションの曲は、Blues for Miro だ。これには思わず聞きほれてしまった。ミロのモッタリした彫刻より、断然ノリがよいピアノだな。ドラムはサム・ウッドヤード、ベースはチャールス・ラム。
そしてともあれ、マイヨールは見るたびに好きになる。幸いミロ展へ来た人は、上の階の常設まで上がってこないから、ほとんど一人で静かに鑑賞ができた。何度も観ているので、今はマイヨールが抽象性を目指していたのが実によくわかる。ロダンとは正反対のいきかた。ロダンが刹那的リアリズムで現実を凝視したのにくらべて、マイヨールは芸術に永遠性を求めている。遠くギリシャ彫刻に想をめぐらして、時代を超越することに成功している。富岡鉄斎ならば「今人古心」というところでしょう。
帰りにリュクサンブール公園へ寄った。夕方からジャズ・ピアノのフリー演奏会が野外であると、ポスターでみていたのです。エリントンを聴いた後では、ちょっとこのピアニストではものたりなかったけれど、こういう粋なはからいが、パリにはあるから嬉しい。
公園のベンチでひとやすみをしていたら、どこかの飼い猫がノコノコと隣にやってきた。夏なのに肌寒いためか、どうやらヒナタボッコをしているようにもみえる。猫だって調子がくるっちゃうよね。七月だというのに、最高気温が20度くらいのフランス。TVニュースでは、夏のバカンスでリゾートへ行った人たちが、寒くて遊べずガッカリしている模様をながしていた。異常気象がフツーになって、いよいよ地球は小氷河期に入ってしまうのかね。