最古のクリスマスカード

osamuharada2010-12-24

仕事場の書棚から、レタリングの本の間にはさんであった、古いクリスマスカードが出てきた。最古のガールフレンドP子さんにもらったもの。1963年のクリスマス。高校二年の冬で、クリスマスカードというものを生まれて初めてもらった。その頃は、キリスト教関係の店でしかカードは手に入らなかったし、それも宗教くさいマジメなクリスマスカード専門だった。当時このてのユーモラスな、洒落たカートゥーン・スタイルのカードは輸入品だけで、日比谷のアメリカン・ファーマシーで売っていた。他では手に入らない。つまりP子さんのセンスは、アメリカナイズされていて、かなり都会的だったわけね。半世紀も前の、最古のクリスマスカードを、デザイン書と一緒にしまっておいたのは、このカートゥーンアメリカのマンガ)の描き文字と、イラストが、そうとう気にいっていたからだと思う。赤の文字は、エンボスで盛り上がっている。当時は斬新に見えたし、いま見たって古くはないでしょ。アメリカ黄金期のグラフィック。
現在の日本人は、クリスマスというものが、キリストの誕生日を祝う日だなんてすっかり忘れちゃって、ただ物をやったりもらったりするだけの、お祭り騒ぎと考えているよね。この日本式クリスマス・ブームのようなものは、70年代から始まる経済成長の、大衆消費社会にはいってからのことです。物を売るための販売戦略として、企業が仕組んだものでしょう。80年代バブルの頃には、最もバカげた大騒ぎになっていたよね。ヤツガレが、しがないイラスト稼業についてからは、広告や雑誌、グッズなどで、嫌になるくらいクリスマスものを描かされましたよ。それも暑い夏の間に、前もって描かなきゃならないので、すっかりクリスマス嫌いになっちゃった。
この最古のクリスマスカード、中を開くと小さなサンタクロースとトナカイが空中を飛んでる可愛いイラストが描かれている。白地に赤と黒の2色刷り。そこへきれいなコバルトブルーのインクで、P子さんがやたらと書き込みをしています。ほとんどが意味不明のオノマトペ。なんとか読みとれる文字は「ニドメノクリスマス キョネンハ アンマリ サエナカッタカラ コトシハ スコシ サエチャッテネ   ガチョーン!」と書いてあります。そういえば今年、谷啓さんが亡くなりましたね。このカードの‘63年は、テレビの「シャボン玉ホリデー」という番組で、「ガチョーン!」が大ブームを起こしていた頃でした。ぼくたちの高校はキリスト教だったので、クリスマスの礼拝があり、讃美歌をうたい、聖書を読まされ、すっかり神聖なるクリスマス気分に浸っていました。クリスマスのデートも、どこか静かでノンビリしていたかな。流行りのクリスマスソングは、ビング・クロスビーのWHITE CHRISTMASだったっけ。 またトシヨリの口ぐせ  【昔は、よかったね。】
思い出の、日比谷アメリカン・ファーマシー → [id:osamuharada:20080120]