続・銀座異聞

osamuharada2010-12-12

銀座伊東屋で、画材を買って外に出た。ふと銀座通りの向こう側を眺めてビックリした。地味なクリスマスの飾りを付けた「カルティエ」の隣りが、ド派手な「洋服の青山」になっている。以前は裏通りで、どことなく後ろめたそうなたたずまいだった安売り服屋が、世界の高級ブランド店と肩を並べての、堂々たる?店構えなのだ。このあたりは、「カルティエ」の隣が「シャネル」、反対側は「ルイ・ヴィトン」に「ブルガリ」「ティファニー」という、銀座でもセレブ御用達の表通りじゃないのか。それがいっぺんに、場末感あふれる街並みになってしまった。これでサラリーマンが喜ぶのか、ブランド好きがガッカリするのか、どっちにも関係ないけど、なんか中途半端な気分にはさせられる。
銀座5丁目から新橋にかけては、すでに安売り服屋がシノギをけずっていて、昔の銀座通りの面影はもうない。「ユニクロ」をはじめ「アバクロ」「H&M」「ZARA」、そのゆきつく先には「激安の殿堂ドン・キホーテ」が待っている。今年は、デパートのはずだった「銀座松坂屋」が、見えも外聞もかなぐり捨てて、1階から5階までアメリカの安売り服屋「Forever21」に変身。6階を安売り家電量販店の「LaOX」に貸している。この秋葉原が本店のラオックスは、ついこないだ中国資本に乗っ取られたばかり。お客も中国人がほとんどで、日本製の電気釜などを大量に買って帰るそうだ。なんだかワケのわからない銀座になってきた。
経済学者の浜矩子先生いわく ≪ デフレが続く限り、いったん安売り競争が始まると、好むと好まざるとにかかわらず安売り競争の消耗戦を展開して競争相手を潰すしか生き残る道はなくなる ≫ のだそうです。怖い時代になりました。もうだらだらと銀ブラなんかしている場合じゃないよね。今年は、ゆきつけだった「新橋小川軒カフェ」が閉店、ここもサラリーマンの安スーツ屋になっていた。
・・・国つ御神のうらさびて 荒れたる都 見ればかなしも・・・ だな。  新・銀座異聞→[id:osamuharada:20100928]