スウェーデンの映画

osamuharada2010-07-14

最近BS放送で観た映画の話。スウェーデンの、イングマール・ベルイマン最後の監督作品、’03年『サラバンド』が良かった。映画を観ていたはずなのに、すぐれた文学作品のような感動が後に残る。テレビ映画としてつくられた’74年『ある結婚の風景』の、続編のような内容になっている。同じ登場人物たち(同じ俳優が演じる)の、三十年後のドラマで、面白くないわけがない。ベルイマンはハイヴィジョンTVカメラで撮影している。映像に北欧独特の張りつめたような透明感があるのは、リアルなカメラのせいだろうな。ノルウェーの大女優リヴ・ウルマン、この時六十五歳。ベルイマン監督は八十五歳。老いてなお、演出も演技も内からの光を放っていた。しかもベルイマン作品らしいモダニズムは、最後まで失われていなかったと思う。
WOWOWのハイヴィジョン放送で、同じくスウェーデンの、新しい映画'09年『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』も面白かった。いかにも北欧のミステリーという感じがしていいなァ。 原作三部作は、なんと世界で4000万部突破!しているというから、あのハルキムラカミ三部作の10倍の、驚異的なベストセラーですね。日本ではまだイマイチらしいけれど。 スウェーデンのミステリー小説といえば、ぼくには『刑事マルティン・ベック』のシリーズが懐かしいな。(前に書きました)→[id:osamuharada:20081015]  原作者が早世したため、シリーズが中断したところも似ている、残念ながら。
さっそく『ミレニアム』の原作本を読んでみた。意外と正統的な推理小説スタイルで、エンターテインメントとしては一流でしょう。読みだしたら止まらなくなっちゃう。男くさいデテクティブストーリーながら、男まさりの若きヒロイン、リスベット・サランデルが女性ファンをもしっかり獲得しているのがよくわかる。久しぶりに、ミステリーを読む醍醐味を味わえた。 
ミステリー映画ファンとしては、韓国のポン・ジュノ監督’03年『殺人の追憶』や、ナ・ホンジン監督’09年『チェイサー』のほうが好きですよ。今世紀に入って躍進している若い韓国の映画人たち。俳優では、なんといってもソン・ガンホがぼくの韓流スターです。 この分野でいうと、ハリウッド映画や日本映画は、韓流にもスウェーデンにも、とっくに追い抜かれちゃってるな。完膚ナキまでやっつけられた感じ。ハリウッドでは、大根役者デカプリオで『チェイサー』のリメイクを撮るという、もう遅いんだよ、いまさらチェイスしたって追いつけっこないだろう。 映画『ミレニアム』の二作目と三作目は、今秋公開されるらしい。今度は映画館で観ようかな、楽しみだね。 イチジクがうまい夏の季節になりました。生ハムをのせて食べれば、白ワインとミステリーによく合いますよ。