印象派展の印象

osamuharada2010-07-10

例の民主党レンホー事業仕分け」のおかげで、独立法人の国立美術館は、新たな所蔵作品の購入費をカットされてしまった。もう二度と税金で美術品は買えないのだ。 しかし、仕分けましたといっても、作品購入費ってのは、美術館の年間総予算のうち、たったの7%くらいなのね、削ったのはそれだけよ。他はすべて無事。天下り館長さんや、学芸員の人件費もそのままでOK。まずは目出たしというところか。 
購入費がゼロになったって、痛くもかゆくもないという美術館は、最初っから所蔵品など無駄なモノは持たないことが自慢の、The National Art Center こと「国立新美術館」だけだ。他より先をいってたんだね。 その六本木「国立偽美術館」では、パリの「オルセー美術館」から借りてきた【印象派】の展覧会を開催中。現在オルセー美術館は、改装工事中なので、美術品を仕舞うところが無いから、外に高額で貸出してるワケ。 幸い日本の美術展では、とにかく【印象派】さえ出しとけば、必ず満員御礼!となるからアリガタイお話。ついでに六本木ヒルズも便乗して、アメリカの「ボストン美術館」から【印象派】を借りてきて展覧会をやった。 どこも新聞やTVで大宣伝をしたから、「行列ができる店」じゃなかった「美術展」になった。出版不況で売れない雑誌までも【印象派】特集で、ちゃっかり便乗していましたね。これもまた、まずは目出たしか。
ヤツガレは、オルセーもボストンも何度か観てきたので、今さら六本木などで、行列してまで行きたくないなと思っていたが、すいていそうな【印象派】展を他に発見。渋谷東急百貨店の、Bunkamura ザ・ミュージアムです。(コレも凄い名前だな、文化村というのが悲しい) ともあれポスターに、印象派中で最も好きなアルフレッド・シスレーの絵が使われていたので気がついた。こちらの便乗【印象派】展は、地味な風景画だけだから人気が無く行列もなし。 フランス北東部「ストラスブール美術館」所蔵の絵を借りている。ここの絵は未見だし、いざ勇んでおもむいたのだが、我が愛するシスレー作品は2点のみ。しかし“ Paysage avec maisons ”と、“ Bords de la Seine ou du Loing ” の2点、いずれも傑作だった! この二つだけを、精神集中して観てきました。不快な渋谷にいることなど忘れて、シスレーの絵の中へ、至高の旅が体験できた。これこそほんとに目出たし。 他はアカデミズムの凡庸な風景画家が多かった。何故か、風景画に混じって、ピカソの「闘牛」の絵が1点だけあった。解説には「闘牛はスペインの画家ピカソの原風景であった」とある。原風景でも風景画なのかよ。後でこの展覧会のタイトルを見たら、「語りかける風景」コロー、モネ、シスレーからピカソまで、となっていました。
シスレーの絵がカタログ表紙(上の写真)になってたので、記念?に買いました。印刷の色は最悪。トリミングもひどいデザイン。シスレー絵画の実物は、自然を謳歌し、明るい色彩で、歓びにあふれています。このことについては前にも書きました。シスレーと印刷→[id:osamuharada:20091127]、シスレーの空→[id:osamuharada:20091022]