アトリエの床

osamuharada2010-06-22

絵描きが、一番好きで落ち着く場所は、なんといってもアトリエでしょう。ヤツガレも子供のころから自分のアトリエを持つことが夢でした。というわけでイラストで稼いだお金で、念願のアトリエを持てたのが26年前。アトリエといっても、ただの倉庫というか、でっかい箱みたいなもんなのですが。それでも嬉しかった。
最初はアトリエの床を板張りにしていたのが、そこだけが木製だったので、20年もたった頃に、とうとう白アリ軍団に床下の根太をボコボコにやられてしまいました。アトリエでは大きめのキャンバスに、アクションペインティングの抽象画を描いていたのですが、床に置いて立てかけてあった作品も、キャンバスの木枠を喰われてしまって全滅、ほんとにガックリよ。画材を置く木製の棚までやられちゃったんだから。それでもう板張りの床にはつくづく懲りたので、すべてとっぱらって、今度は全面コンクリートを流し込んだ床に替えた。これなら白アリには喰えないだろザマミロなのでした。 
コンクリ打ちっぱなしの、グレーの色は好きじゃないから、床は真っ白にペイントした。壁や天井は、最初っから白。これで全部が白い箱になった。 板張りのときには、落ちた絵具をたまに拭き取ったりしていたのが、純白の床になってみると、落ちこぼれた絵具の色もまた美しいもんだなァ、と思うようになり、それからは拭かずに放置したままです。年に一回、軽く箒で掃くだけ。 絵を描くたびに、少しずつ飛び散った色が床に増えていくと、それだけでもアトリエが、ますます居心地のよい場所になってゆく。多分こういうのって、絵描きじゃないとわからない、バカバカしい話だろうな。