慎吾くんと日本語

osamuharada2010-06-05

キオスクで、雑誌の表紙にスマップの慎吾くんの顔が大きく出ていたのを見て、ふと思い出したコトがある。『日本人の顔』(平凡社カラー新書・1975年刊)という本に出ていた、インド南部ドラヴィダ族の男子の顔(この写真)、慎吾くんソックリじゃないか!
むかしキャラクターの参考にと、いろいろな人の[顔]を収集していたことがあって、そのうちに、世界でも日本人の顔ほど種類が多い国は珍しいなァと気がついた。まわりを見回しただけでも、フツーの日本人なのに、中国、朝鮮、蒙古や、中近東顔の人だっている。全東南アジアの顔から、汎太平洋のポリネシア顔まで揃っている。身近な知人も、たいがいどれかに当てはまっちゃうから可笑しいよ。あんまり面白いので、古代史や考古学、遺伝学や言語学の本も読んで考えてみた。
紀元前の、1万年も続いた縄文時代の間には、様々な民族が日本列島に渡りきては共生し、みんな仲良く豊かに暮らしていた。平和で、1万年間も戦争はしなかった。定住した人々同士が互いに交流し、ゆっくりと長大な時間をかけて複合してゆき、現在の日本人の祖先となった。東西南北あっちからもこっちからも来ていて、実に多種多様な民族の混血種ができたわけ。我々日本人は単一民族ではなく、もとは複合民族なのですね。で、慎吾くんの先祖は、インドのドラヴィダから日本に来たのですよ。あの世界四大文明のひとつ、インダス文明を築いた人種の末裔です。紀元前にアーリア人に侵入されて、インドから逃げ出した一部が、だんだんと東端の日本列島へたどり着いたんでしょうな。
それで思い出したコトというのが、有名な言語学者大野晋先生が、晩年になって研究された、日本語の起源は「ドラビダ族の使っていたタミル語」にあるという説。しかしちょっと聞くと、この途方もないような説は、正しく批評も支持もされなかったようでした。大野先生は二年前に亡くなったけれど、最期までこの説は正しいと言っておられた。日本語も、日本民族と同じように複合してできた言語だとするならば、大野説だけでは偏りすぎているような気もするが、縄文時代、日本語の祖語が形成される段階では、ドラヴィダのタミル語を話す人々が関わっていたとしても首肯できる。何より大野説は、この慎吾くんが証明しちゃっているではないか。いみじくも顔に書いてある!