銀座のパイプ

osamuharada2010-05-07

M書房の編集者Nさんが、お世話になった方へのお礼に上等なパイプをプレゼントしたいそうで、ついてはどこでパイプを手に入れたらよいでしょうか教えてほしいという。ぼくが古いパイプ党であることを知っていたのと、女性(Nさん)に男子専科のパイプは縁のないものだったからでしょう。そこで一日、銀座の老舗の喫煙具店へと、ヤツガレが案内役をあいつとめちゃいました。
歴史あるパイプ屋さんが、今でも銀座には二軒あるのです。ひとつは銀座六丁目の「菊水」、それに銀座一丁目の「佐々木商店」。それぞれ扱うパイプに特徴があって、イギリスとフランスの名品が揃っているのは「菊水」、デンマークをはじめ北欧の作家モノのコレクションで有名な「佐々木」。 世界でも最高級のパイプは、銀座のこの二軒に集まっているのですよ。以前ニューヨークの喫煙具店でパイプを探したことがあるのですが、店舗は立派で高級そうな感じなのに、置いてあるパイプは安物ばかりだったのに驚いたことがあります。想像ですが、日本人は江戸時代の昔から、すでに喫煙具に凝る人たちが、庶民に至るまで、かなり沢山いたんでしょうね。煙管(キセル)や煙草入れ、根付などなど、工芸的に見て素晴らしい喫煙具が美術館にもありますよ。最後のキセル世代だった、桂文楽志ん生遺愛の喫煙具などは、まさに粋なもんでした。喫煙道具に凝る男たちが連綿と続いていたわけです。
パイプ初見のNさんは、かつて美術館の学芸員をしていた経歴もあり、パイプの工芸的な美しさに、いたく感激をしてしまい、迷いに迷ったあげく決定は先延ばしということになりました。どれも凄くて決められな〜い! その気持わかるな。 パイプの魅力とは、材質とそれを活かしたデザインにあるのでしょう。使っていて飽きがこないものがベストです。 (写真説明)今でも「佐々木」では、パイプに磨きをかけるためのオリジナルの「つやふきん」を売ること、なんと140年以上も昔からなのですよ。黄色い布にはワックスが浸み込ませてある。松竹梅の掛け紙が、西洋のパイプとミスマッチだけど、コレも愛用品。パイプは「菊水」で買った、長年愛用のダンヒル(白いドットはシンボルマーク)。英国のオーソドックスなタイプです。
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