続・六本木裏道さんぽ

osamuharada2010-05-03

久しぶりに、好天気の六本木で、散歩のついでに美術展でも覗いてみようかなと思って歩いていた。「サントリー美術館」(東京ミッドタウン)と「国立新美術館」の間の通りに、新築の貸しビルができていた。流行の総ガラス張りで7階建、2月にすでに完成したと書いてある。1階は天井高7mくらいの吹き抜け空間で、モダンアートのカッコイイ画廊風。しかしいまだに外からマル見えの空き家のまんまだ。離れて見てみるとビル全体が透明だから、全階空き家とすぐ知れる。5月になってもまだテナント募集中。異常な4月の寒さのせいだったか、FOR RENT の看板の下の植え込みは、葉が枯れて黄変し、雑草の代表各ヒメジョオンの花が寂しく咲いていた。この貸しビルの名前は「六本木アートシェル」。つまり美術館への通り道ということで、アート関係のギャラリーか店舗を開くには絶好のロケーションですよ、というコンセプトがすぐわかっちゃう単純なネーミングだよね。ちょっと恥ずかしい名前。 でもそう思うのは素人で、もしかするとだよ、この空っぽのビル全体が「FOR RENT」と題したインスタレーション作品だったりして。クリストみたいなね。
むかしコイズミが提唱した官民一体(利権がらみ)の都市再開発で、六本木はアート中心の文化的な街に大変化するのだ!とカラ騒ぎしていた頃を思い出す。 あれから、六本木ヒルズに「森美術館」(森アーツセンター内)という、展望台のオマケについてる現代美術専門の展示場ができた。次に赤坂からは「サントリー美術館」が引っ越してきた。やがてアート引越センターならぬ「ザ・ナショナル・アート・センター」(日本語の誤訳では国立新美術館)ができて、文化的な都市再開発は終わったのだ。つまり不動産屋の現代美術館と、酒屋の美術館と、国民の血税で賄う国立偽美術館で、一応の完成をみたのだよね。 ところが、リーマンショック後の大不況下で、アートもアート市場もすっかり冷え込んじゃったから、今は見る影もない文化都市の六本木。 写真はその問題?の六本木アートシェル。道のコチラ側の看板には「薪」の一文字。マキと書いてあるけど、ほんとは「新」という意味のアート作品なんだよ。新国立偽美術館は←コッちです、という謎解きにもなっているのだ! ウソです。
ブラブラと、そんなどふでもよゐコトばかり考えて散歩していたら、国立新美術館の前に来た。ポスターやチラシで見る限り、キモ〜イとしかいいようのない「国展」開催中。それに、物でも入れたらすぐ倒れちゃいそうな茶碗や皿を作る、ユダヤ人陶芸家「ルーシー・リー展」しかやっていなかった。中からオバサン連がぞろぞろ出てくるのには、バーゲンセールでもやってるのかと思ったな。で、結局またどこの美術展にもカフェにも寄らず、ひたすら歩き続けただけの、楽しき散歩でありました。
前の、六本木裏道さんぽ→[id:osamuharada:20091116]